3: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:34:42.07 ID:/1fb2KCg0
 「失礼します。うちのアイドル部門の人が、高垣さんとお話したいって言ってるんですけど今大丈夫ですか? 面倒なら適当言って断りますから」 
  
 「……アイドル部門? うちにあったんですか?」 
  
 「ああ、最近のことですから。芸能部門から独立してできたばかりの部署です」 
4: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:35:31.76 ID:/1fb2KCg0
 「もし貴方が今楽しくないのならば、夢中になれる何かを探しているのなら、一度踏み込んでみませんか。そこにはきっと今までと別の世界が広がっています」 
  
  この人は仕事のためかもしれない。けれど不器用なりに私との距離を必死に縮めようとしてくれている。ならば物臭な私の方からも、一歩ぐらい歩み寄ろう。 
  
 「急な話で困惑していると思います。マネージャーの方との相談も必要になる話です。ですがどうか……高垣さん?」 
5: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:36:22.82 ID:/1fb2KCg0
 ※ ※ ※ 
  
  
  
  それからというもの急に忙しくなり、目まぐるしい日々となった。 
6: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:37:04.57 ID:/1fb2KCg0
 ―― 
  
 ―――― 
  
 ―――――――― 
7: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:37:47.43 ID:/1fb2KCg0
 「あの……私まだとても踊れる状態では」 
  
 「ライブといっても小さなライブハウスで行われるものです。そして曲の方は現在作曲中ですが、高垣さんの歌唱力を前提としたバラード……静かな曲なので、踊ったりはせずに動きは軽い身振り手振り程度です」 
  
 「そ、そうなんですか。それでもまだ早くないですか?」 
8: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:38:28.57 ID:/1fb2KCg0
 ※ ※ ※ 
  
  
  
  初めてのライブは蜃気楼のようだった。 
9: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:39:58.49 ID:/1fb2KCg0
  音楽が流れ出す。 
  
  メロディーに乗せられて、言の葉を紡ぐ。 
  
  観客の表情が、小さなライブハウスのおかけで次々と変わるのが目に映る。 
10: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:40:50.81 ID:/1fb2KCg0
 ―― 
  
 ―――― 
  
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11: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:41:25.16 ID:/1fb2KCg0
 ※ ※ ※ 
  
  
  
 「そ、そんなの許せません!」 
12: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:41:58.10 ID:/1fb2KCg0
 ※ ※ ※ 
  
  
  
 「すまないがこれは複数の部署をまたいだ決定事項なんだよ」 
13: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:42:25.24 ID:/1fb2KCg0
 ――そこから先の話は、正直覚えていない。 
  
  凍り付いてしまった私に部長は慌てて色々と言ってくれたけど、頭に入らなかった。 
  
  あの人が……私たちと一緒にいられなくなるのは――――――――――私のせいなんだ。 
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