30:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 23:33:28.38 ID:2kLflUvfO
外に出て、壁に立てかけていたクロスバイクを反転させる。
「なあ少年」と、彼女が僕に話しかける。
「思うにね、私たちは幽霊なんだよ」
「幽霊?」僕は聞き返した。
「そう。未練がましく現世にしがみついているわけ。
成仏できない幽霊みたいにね」
少年、君の未練はいったい何なのかなあ、と彼女は僕に尋ねる。
別に何も、と言い残して僕は自転車を漕ぎだす。
言葉の通りだ。僕には何もない。
やりたいことも、やり残したことも、なにも。
街灯も付かない真っ暗な夜道の中を、
僕は走る。
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