16: ◆Kg/mN/l4wC1M
2021/03/19(金) 12:14:09.53 ID:wEzeH4cQ0
ゆっくりと扉が開く。そこに立っていたのは、ダークグレーのスーツを着た男性だった。
彼の首元には赤みがかった茶色のネクタイが提げられていた。
普段あまり見ない色味で思わず目に留まったが、芸能に携わる仕事であることを踏まえればこれでも主張が少ないくらいなのかも、と思った。
扉が完全に開いたタイミングで、彼と目が合った。
見たところ、年齢は私と同じくらい。
社長面接の代わりとなる人物であることを考えると、仕事ができて、信頼されているということだろうか。
実際、彼からは真面目で、誠実そうな印象を受けた。
ただ、それ以上に取り立てて特徴があるわけではなかった。
どこの会社、あるいはどこの課にも、彼のような人が一人はいるだろう──そんな第一印象だった。
それなのに、彼の顔を見た瞬間、胸がざわついた。
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