32: ◆Kg/mN/l4wC1M
2021/03/19(金) 12:27:15.49 ID:wEzeH4cQ0
◇
あの日から、何週間かが経った。
住み慣れたこの街を歩くと、少しずつ季節は移り変わっていることを実感した。
家のそばの公園では、桃が綺麗な花をつけていた。
明日、僕はこの街を旅立つ。
だから今日は、その最後に、僕にとって大切な場所に来ていた。
電車でたった数区間。
駅を降りると、微かに潮風が抜けて、僕の鼻をくすぐった。
765プロライブ劇場。
休日ともあって、広場には多くの人が詰め掛けていた。
建物の傍には、法被を着て談笑する人たちが見える。
少し離れたベンチの傍には、寄せ書きを呼び掛けている人たちが集まっている。
そこには、普段と何も変わらない光景が広がっていた。
僕はそれを遠巻きに見ていた。
僕の心は温かくなって、そして胸の片隅がちくりと痛んだ。
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