【シャニマス 】果穂(16)「普通って、なんですか?」
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37:名無しNIPPER
2021/05/17(月) 17:43:44.07 ID:/6+K4mbv0
 落ち着いた声音で、凛世さんがゆっくり喋る。この人は放クラや事務所のみんなの前だと、言葉を選ぶように間を開けて喋ることが多い。けれど、みんな自然とそのあと言葉が続くのかそうでないのか、わかっていた。
 凛世さんの言葉を遮ってしまうことは、あまりないと思う。

「そもそも……自分が変わっている、ということは……承知のつもりです」

以下略 AAS



38:名無しNIPPER
2021/05/17(月) 17:44:27.02 ID:/6+K4mbv0
 凛世さんは元から特別だ。それは自他ともに認められていることだし、凛世さんはそれを武器にしている。
 気にしている様子もあるけど、それを受け入れてもらえてるし、現に今日もその凛世さんの「特別」が撮りたくて、お仕事ももらっている。あたしは凛世さんの隣にいただけだ。
 凛世さんと比べたら、自分はなんて普通なんだろう。さっきまで自分が特別で、普通のことを何も知れないなんて傲慢なことを考えていたけど、案外自分みたいな人間は、特別でもなんでもないのかもしれない。
 特別であることを自覚すること、普通であると言い聞かせること、どっちが正しいのだろう。
 凛世さんがすっと障子を開く。暗い広縁に、薄青い月明かりが差し込んだ。
以下略 AAS



39:名無しNIPPER
2021/05/18(火) 16:53:37.15 ID:P7s9I4jP0
 月曜日は普通に学校があった。日曜日も夕方まで撮影があったから家に帰ったのは夜になり、微妙に疲れが溜まったままの登校になった。まぶたの裏に疲れは溜まってるけど、夏休み前だから、とこのスケジュールを受け入れたのはあたしなので仕方ない。

 2時間目が終わって、お昼まで我慢できそうになかったので菓子パンを齧りながらスケジュール帳を確認していると、生徒会の子が話しかけてきた。

「果穂ちゃん、例の件なんだけど……どうだった?」
以下略 AAS



40:名無しNIPPER
2021/05/18(火) 16:54:13.06 ID:P7s9I4jP0
 コンビニまで行くと、待ち合わせの10分前なのに、いつもの場所に車が停めてあった。ナンバープレートが同じだから間違いない。早すぎる。
 たぶんプロデューサーさんは水か何か用意してくれているだろうけど、この喉の渇きをあの人に潤してもらうところを想像すると、なんだかムッと思うところがあったので、車に気づかないふりをして少し小走りにコンビニに駆け込んだ。
 少し急ぎ目に水を選んで、レジに急ぐ。小腹が空いてる気がしたけど、これから撮影だし、少しでもお腹を引っ込めておきたくて我慢した。
 案外、少し食べただけでも印象は変わる。今日の衣装は浴衣だと聞いてるけど、着付けの時にお腹にタオル巻かなくていい、なんて言われたら、ちょっと嫌かもしれない。
 この間夏葉さんに教えてもらったスマホ決済でお会計を済ませて、コンビニの自動ドアをくぐる。蝉の声は頭の中まで響くようで、姿も見えないのにどこから聞こえてくるんだろう、と視線を泳がせた。地面から陽炎が上がっている。もし地面があんな風にぐにゃぐにゃしてたらバランス取るの難しそう。
以下略 AAS



41:名無しNIPPER
2021/05/18(火) 16:54:38.17 ID:P7s9I4jP0
 撮影は驚くほどスムーズに終わった。本当は待ち時間があったけど、あたしの前の子が機嫌を悪くしてしまっていて順繰りにあたしの撮影が先になった。お仕事で機嫌を悪くするなんて、子役の撮影でもあったのかな。

「いやぁ、果穂ちゃんまた背伸びたねぇ!」
「はは、小宮も育ち盛りですので」
「昔からスタイル良かったけど今年はもう浴衣がバッチリ映えるねぇ、大人顔負けだよ!」
以下略 AAS



42:名無しNIPPER
2021/05/18(火) 16:55:18.65 ID:P7s9I4jP0
「果穂、入ってもいいか?」

 ドアをノックされて、全然問題はなかったけど、あたしは「少し待ってください」と声を張って、5秒くらい待って「いいですよ」と扉に話しかけた。

「お疲れ様、今日の撮影もバッチリだったな」
以下略 AAS



43:名無しNIPPER
2021/05/18(火) 16:56:03.07 ID:P7s9I4jP0
 着替えがないぶん早く帰れると思ったら、帰路で渋滞に捕まってしまった。

「ごめん……まだしばらく抜けそうにないな」
「プロデューサーさんは予定ないんですか?」
「今日はもうないよ、果穂は?」
以下略 AAS



44:名無しNIPPER
2021/05/18(火) 16:56:51.86 ID:P7s9I4jP0
「ただ無理にとは言わないし、疲れてるならやめておく……?」

 あたしが黙っていると、プロデューサーさんはミラー越しにこちらを伺ってきた。
 この人も、今は事務所のみんなが大人だし、一緒に行ける人がいないのかもしれない。この性格だし友達はいるだろうけど、これだけ仕事をしているのを見ていたらプライベートで遊ぶ暇もないのかもしれない。
 本当は早く帰りたかったけど、あんまり邪険にするのは良くない気がして、ミラー越しにプロデューサーさんの顔を見た。目が合う。なんかこそばゆくて、すぐそらす。
以下略 AAS



45:名無しNIPPER[sage]
2021/05/19(水) 12:47:24.99 ID:jIzyKTgRO
あーすきすき


46:名無しNIPPER
2021/05/21(金) 20:51:17.50 ID:+8ELAIim0
すみません
明日には続き投下します


47:名無しNIPPER[sage]
2021/05/21(金) 21:01:22.08 ID:Q/ECCXK3o
待ってます


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