8:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:09:40.61 ID:emsexCaj0
祝勝会は、タキオンの門限が来る前にお開きになった。
タキオンは、今日はもう少し、トレーナーと一緒にいたいような気がしたが、それを口に出すことは無かった。
トレーナーが後片づけをするのを見守っていると、トレーナーが、名残惜しそうな顔をあからさまにしているので、
タキオンは吹き出しそうになった。
子供のような人だ。
タキオンが冗談で、「まだ続けようか?」と言うと、トレーナーは顔を明るくして、
次いで気付いたように表情をあらためて、取り繕った顔で窘めてくるので、ついタキオンは笑ってしまった。
タキオンは、トレーナーと他愛もないことを話して、門限ギリギリまでそこにいた。
翌日の朝にレースを振り返るミーティングをすると約束をした。
寝坊しないようにと念を押されて、わざといい加減に返事をした。
別れ際、トレーナーは感慨深げにタキオンのことを見た。タキオンは少し気恥ずかしくなり、そっぽを向く。
トレーナーは手を振って、タキオンが建物の中に入るまで見送った。
今生の別れでもあるまいしと、タキオンは大袈裟なトレーナーに少し呆れた。
でも、そこまで私と一緒にいたいのなら。
タキオンは、クックッと、笑った。
鍵の複製をとられたことにも気がつかない、間抜けなトレーナー君め。
合鍵なんて、トレーナー君のことだから、頼めばくれると思うけれど。
朝も早くから驚く顔をするトレーナーを心の中で思い描きながら、タキオンはほくそ笑んだ。
部屋に帰ると、同室のウマ娘にすごく機嫌がいいですねと驚かれたので、適当に返事をした。
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