【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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237:いぬ ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/06/21(月) 22:27:38.62 ID:JAakaxgy0
▼マヤノトップガンのやる気が上がった。(好調→絶好調)

―――


――五月某日。

 春が過ぎ、梅雨に差し掛かろうかという時期。

 蒼天は高く透き通り、風は心地よくそよいでいる。

 マヤノトップガンとトレーナーは、いつも通りのテンションで控室に入っていた。


「トレーナーちゃん! このレースに勝ったら、マヤのお願い聞いてくれる?」
「ものによる、とは言っておこうかな」
「えーっ……。でも、ものによるけど、お願いは聞いてくれるってことだよね!」


 よし、と意気込むマヤノトップガン。苦笑を浮かべてマヤノトップガンを見るトレーナー。

 満面の笑みは、どんな暗闇をも照らす光であるかのように輝いており、彼女のそんな様子を見ると、トレーナーは少し安心できるのだ。

 都度二回。トレーナーはこの先の物語を紡ぐ前に消えてしまった。

 繰り返すごとに、物語を先に紡ぐ力がついているような気がしている。だが、それよりも――今までに別れを告げてきた経験が、今もこのメイクデビューに対する強い緊張をトレーナーに与えていた。


「――トレーナーちゃん?」
「……ああ、どうかしたか、マヤノトップガン」
「もう一回、マヤのことマヤノって呼んでくれないかな?」
「え?」


 トレーナーが呆けた表情で返すと、マヤノトップガンは頬を膨らませながらトレーナーに遺憾の意を示す。


「トレーニングの時、マヤノのことを大事にしたいと思ってるから〜って言ってたーっ! トレーナーちゃん、もう一回言ってよ〜!」
「……勝ったらな」
「――。そっか、勝ったらマヤノ呼びね! ユー・コピー?」
「アイ・コピー。そう言ったからには絶対に勝って来いよ?」
「ふふーん! トレーナーちゃんがびっくりするくらいの走りを見せちゃうんだから!」


 席を立つマヤノトップガン。夕陽の色をそのまま宿したかのようなオレンジ色の髪の毛がふわりと波打ち、少しの間をおいて、彼女の表情を隠す。

 窓から太陽の光が差して、マヤノトップガンのキューティクル抜群の髪にエンジェル・リングを作る。


「――見せちゃうから、さ。トレーナーちゃん。そんな悲しい表情、もうさせないからね」


 表情を見せずにパドックへ向かうマヤノトップガン。その言葉に、トレーナーは思わず自身の顔にぺたぺたと触れる。


「……担当ウマ娘に心配されてちゃぁ、トレーナー失格だな」


 乾いた笑いを漏らして、マヤノトップガンが出て行った扉を見る。きらきらと煌めく陽光が部屋に差し込まなくなって、少し白んだ両手を解いた。


「――輝いてこい、マヤノトップガン」




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