【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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518:いぬ ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/06/28(月) 14:41:01.36 ID:7nVrBzQPO
 ふと聞こえてくるクリスマスパーティーの喧騒。まだまだ昼だと言うのに盛り上がっているようだ。

 マヤノもあの輪の中に入って、存分に楽しんでいることだろう。はしゃぎすぎて年明けのトレーニングに影響が出なければいいが――。

 ふとそう考えた時に、仕事が手につかない理由が理解出来た。


――マヤノの騒がしさが足りないのだ。


 あの騒がしさに慣れてしまったのでは、こんな静かな環境でまともな仕事などできやしない。

 いつの間にか近くにマヤノが居る生活に慣れてしまっていた。気付いてしまえば、ずきりと胸が痛む。

 この先も戦いは続く。URAファイナルズに進むまでにも、日本ダービーや天皇賞なども達成目標に必ず入ってくる。

 運命という言葉が脳裏に響く。――それもただの運命ではない。離別の運命だ。

 年が開ければ、戦いはまた幕を開ける。それも苛烈な。

 共にいる年月を重ねる度に失う苦しみは増していく。俺も、そしてマヤノも。今感じている物足りなさも、俺が無意識にマヤノとの時間をもっと過ごしたいと思っているから――そう考えれば納得出来る。

 苦しい。この苦しみから逃げることが出来ればどれだけ楽だろうか。……俺は頑張ったんじゃないか?

 そう考えると、途端に自分のやってきたことが全て妥協のターニングポイントとして収束した。

 4着とはいえマヤノのメイクデビューを華々しく飾った、京都ジュニアステークスでは1着を取らせた。

 俺より才覚に優るトレーナーとの対戦についても、しっかりとした作戦を練って、マヤノへ伝えた。


――そうだ、俺は頑張った。


 だから少しくらい……休みたくなった。誰もいないところで、誰にも触れられず、深い闇の底で。


――そして俺は、トレセン学園を後にした。


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