15: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:27:29.78 ID:UdHDSlcF0
 「ははは。慌ただしいね。それで君たちはどういう関係なんだい?」 
  
 笑いながらオーナーに尋ねられる。 
  
 「実は昔、私の合唱教室に来てたんですけど向いてないってやめさせてしまったんです」 
  
 一瞬誤魔化そうと考えたけれど、結局言ってしまった。最近の夢もあって一人で抱えているのがきつかった。 
  
 「なるほど。それは気まずくなるのも無理はないね。それで彼女のライブはどうするつもりだい?」 
  
 「それは……。きっと私を恨んでるでしょうから」 
  
 きっと建前で渡してくれただけだ。見に来てくださいなんて思ってもないはず。そう自分に言い聞かせる。 
  
 「行きたいんだね」 
  
 「そんなことは……」 
  
 ない、とは言い切れなかった。今の彼女がどうなっているか見たいという未練、恨まれてないと思いたい身勝手な願い。それらの想いが私の中で渦巻く。 
  
 「きっと彼女は恨みでこんなことをする子じゃないと思うよ。本当に先生に聞いてほしいから渡したんだ」 
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