14:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 16:35:13.94 ID:IsY2Uyq60
「…プロデューサーさん」
「ん?どうした?果穂?」
帰り道、いつもなら一人で帰れるけれど、今日はたくさん泣いてしまったから、それを道行く人に見られるのは恥ずかしいし、事務所的にも良くないからとプロデューサーさんが送ってくれた。
泣いているところを見られた気恥ずかしさから、最初は黙っていたのだけれど、気になったことを聞いてみることにした。プロデューサーさんは大人だから、もしかしたらアタシの知らない答えを知っているかもしれないから。
15:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 16:36:15.70 ID:IsY2Uyq60
「どうして樹里ちゃんは、あんなに優しいんでしょうか?」
「…そうだなぁ」
プロデューサーさんは、きっとアタシが見られたくないことを察して、こっちを見ずに運転に集中するふりをしながら、少し考えてから教えてくれた。
16:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 16:37:05.01 ID:IsY2Uyq60
「きっと、樹里はさ。たくさん傷ついてきたんだよ。だから他の誰にもそんな想いをさせたくないんじゃないかな」
「それじゃあ…樹里ちゃんが可哀想です…」
「そうだよな、だから果穂は樹里を守ろうと思ったんだろ?」
「プロデューサーさん…どうしてわかるんですか?」
「わかるよ、それくらい」
17:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 16:37:46.44 ID:IsY2Uyq60
「プロデューサーさんは凄いです…」
「何言ってんだ。樹里を救ったのは果穂じゃないか」
「え?」
何を言ってるんだろう。余計なことを言って傷つけたアタシが樹里ちゃんを救ったわけがない。
「嬉しいことなんだよ、自分のために怒ってくれたり、泣いてくれたりする人がいるってのは」
18:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 16:38:39.56 ID:IsY2Uyq60
「なあ、果穂」
お礼を言って、車を出ようとしたアタシにプロデューサーさんはこれで最後とばかりに付け足した。
「樹里は優しいよな。そんで俺は『優しい人はたくさん傷ついた人』って言っただろ?でもな、傷ついたまんまじゃ誰かに優しくなんてできないんだ」
「じゃあ樹里ちゃんは…どうして優しいんですか?」
「誰かに優しくされたからじゃないか?」
19:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 16:39:38.86 ID:IsY2Uyq60
「おはようございます!!」
次の日の朝、アタシが学校に行くと少し教室がざわついた。無理もない、喧嘩ではないと思うけれど怒って出て行ったようなものだったから。
「か、果穂ちゃん…」
「あっ、うん…」
樹里ちゃんを怖いと言っていた子に声をかけられた。
20:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 16:40:36.74 ID:IsY2Uyq60
「昨日はごめんね、その、樹里ちゃんのこと…」
「ううん、アタシの方こそごめん…でもね」
昨日あれから一晩考えた。アタシは樹里ちゃんが不良だったら、嫌いになるのだろうか。いいや、きっとならない。だってきっと樹里ちゃんはどんなになっても優しくて強いあの樹里ちゃんだから。
「アタシね、樹里ちゃんのこと大好きなんだ!」
早く放課後にならないかな。そうしたら誰よりも優しくて、誰よりも強いあの人に、直接言えるから。
21:名無しNIPPER[sage]
2021/08/28(土) 21:41:56.81 ID:x96nTpQ+o
おつおつ
22:名無しNIPPER[sage]
2021/08/31(火) 19:24:13.68 ID:Fy8v6KeDO
おつ
23:名無しNIPPER[sage]
2021/08/31(火) 19:24:41.03 ID:fYzLaEslO
あ
24Res/9.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20