448: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/10/14(木) 22:39:07.19 ID:6fC21ecn0
  
 「今回の試験は1年生の間で行われているものですが、ものによっては全学年で競争する場合もあります。おそらく……というか、もう既に今後のスケジュールに全学年共通で競う特別試験が組み込まれています」 
  
  全学年で競う特別試験が行われる。 
  その予想自体はついていたけど、夏帆先輩の口ぶりからしてそう遠くはなさそう。来月か再来月か。夏休み前後あたりで実施されるかもしれない。 
  
 「試験の概要はまだご説明できませんが、その試験において天音ちゃんは……不利になるかもしれません」 
  
 「不利ですか?」 
  
 「はい。ルール上は出来る限り公平だと思います。ただ、天音ちゃんは運動部との戦い、そしてさっきのクイズ大会でも目立ち過ぎています。そのため、言い方は悪いですけど、まず第一に蹴落とす相手として認識されてしまっている可能性があります」 
  
  その可能性は考慮していなかった訳ではない。 
  今回の特別試験ではポイントの変動のみだけど、今後実施される試験によっては退学を賭けたクラス間の戦いになるかもしれない。 
  学力等で良い成績を収める他クラスの生徒を退学に追いやれば、その分だけ自クラスがAクラスとして卒業できる可能性は高まる。 
  今すぐとは言わないけど、秋頃にもなればその認識は全員が持つことになるかもしれない。 
  
 「それは1年生の皆さんだけに限りません。私たち2年生も、乙葉先輩たち3年生も天音ちゃんに対して攻撃的な姿勢で挑むかもしれません」 
  
 「……注意するべき人に心当たりがありますか?」 
  
 「はい。まず3年生はあまり心配が要らないと思います。あの学年はもう統治済みだと聞いていますから。1年生のことは天音ちゃん自身がよく分かっていると思いますので、私からは2年生のことを。1人だけ気をつけていただきたい人がいます」 
  
  暗い表情。 
  名前を聞くまでもなく、今朝の一件を経て彼の顔と名前は既に頭に浮かんでいた。 
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