忍野忍「それでもいい……それでもいいのじゃ」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2021/11/18(木) 23:21:04.53 ID:gFdjDzhvO
『忍ちゃん。君は会うべきだ』

あの日、神原駿河が忍野忍を論破したことが強烈に印象に残っている者は僕だけではないと思うが、当の本人たちはどうだろうか。

『400年がかりで蘇ったかつてのパートナーと会わずに済まそうなんて、それは良くないことだ。とても良くないことだ。それは、正しくない』

600年生きた吸血鬼に正しさを説くなど、年端のいかぬ少女には荷が重いというか、ぶっちゃけ無謀なことだけど、年端のいかぬ少女だからこそ言える言葉だったことは確かであり、だからこそ忍は論破されたのだと思う。

『話にならない。誰かと誰かが出会わなければ話にならない。物語にならないだろう!』

当時の心境を神原に訊ねると、伝説の吸血鬼を論破した伝説の後輩は電話越しにあっさりとこう答えた。

『あの時は仕方なかったんだ』
「仕方なかったって何がだ?」
『あの時、私以外に忍ちゃんを説得出来る立場の者が居なかった。だから仕方なかった』

久しぶりに聴いた後輩の声は、あの時よりも少しだけ大人びていて、言っている内容もまた大人びていた。客観的に神原は語った。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/11/18(木) 23:24:05.54 ID:gFdjDzhvO
『忍ちゃんのかつてのパートナーに1番近しい境遇だったのは戦場ヶ原先輩のかつてのパートナーだった私しか居なかったし、忍ちゃんとほとんど初対面だった私だからこそ、忌憚ない意見を述べることが出来た過ぎない』
「かっこいいよ、お前のそういうところ。今も昔も、僕はお前のそんなところに憧れる」

素直に称賛すると神原は脈略なく要請した。

以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2021/11/18(木) 23:26:51.89 ID:gFdjDzhvO
「なあ、忍」
「なんじゃ、我があるじ様よ」
「お前、悔しくなかったのか?」

あの時、ついぞ聞けなかった忍の心境について訊ねると、忍はかかっと笑い飛ばした。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2021/11/18(木) 23:29:08.89 ID:gFdjDzhvO
「それにしても電話とは便利じゃの」
「そうか?」
「ああ。会って話すよりも素直になれる」

たしかにそうした良い一面もあるかも知れないが、僕はやはり、直接会って話したい。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2021/11/18(木) 23:31:40.34 ID:gFdjDzhvO
というわけで、後日談の物語の、汚いオチ。

「正しさなど、裏を返せばこんなものじゃ」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

以下略 AAS



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