14:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:42:23.17 ID:Rr9Z2Vx8O
「……そうだな。半分ずつでシェアするか。ナイフ持ってくるよ」
蜂蜜のように濃厚で甘美な香りにくらくらと酔いしれるも、何とか『食べさせ合い』はしないと予防線を張る。
一段低い気温に身を晒そうと、キッチンへと避難しようと立ち上がる。
「──はーい!」
ステンレス製のフォークは温かな彼女の手を離れ、机に戻された。
プロデューサーの線引きに気づいたか否かは定かではないが、彼女は笑顔で送ってくれた。
キッチンでナイフを取り出すついでに、深く長い息を吐く。
ソファーで待つめぐるに聞こえないようにゆっくりと。
肺が空になり、暖房の効いていない空気が口から流入する。
彼女の行動は意図的なものなのか、それとも無意識なのか。
だが、どちらにせよ、アイドルとプロデューサーにおける正しい距離というものがあるはずだ。
今は──近すぎる。薄皮一枚で何とか隔てられている。そんな距離だ。
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