確信を得てしまったダイワスカーレット
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4: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/11/28(日) 06:53:58.14 ID:vPGydQ4T0
※ ※ ※

 

「失礼します」

「ああ、お疲れスカーレットさん。アイツなら今席を外してるよ」

 椅子に座りながら入口のこちらへと振り向くウオッカのトレーナー。
 トレーナー室を軽く見渡せば都合が良いことに、部屋にいたのはウオッカのトレーナーだけだった。
 
「知っています。お互いのスケジュールは把握していますから」

「ん、だったらどうしたの? 忘れ物か何か?」

「……彼と楽しく話していたそうですね」

「え……?」

 不思議そうな、無警戒な顔。
 その顔を見ていたら、演技でもなんでもなく自然と笑みがこぼれてきた。

「昼間から、学園内で」

「―――――――――っ」

 笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である。
 アタシの嗜虐と怒りの混ざる笑みと、短いけど十分すぎるほど要点が詰まった言葉で全てを察したウオッカのトレーナーは、こちらを振り返った姿勢のまま固まってしまった。

「……あの子はそういう話に耐性が無い。そのコトはご存じですよね?」

 少し離れたアイツの席に座りながら、固まってしまった頭でも理解できるようにゆっくりと、そしてなぶるように話す。

「……き……き……」

「……き?」

 引きずったややかん高い声。大人の男でもこんな声を出すんだと知りながら、指を組んでそこに顎を乗せながら聞き返す。

「き……聞いたのは……君だけ?」

「……あの子、ひどく動揺してました」

「〜〜〜〜〜っっっ」

 あの子が流すのが鼻血なら、そのトレーナーが流すのは汗だった。
 滝のように勢いよく流れる汗は、普段のアタシならハンカチを差し出すほどのものだった。しかしアタシのハンカチは血を滴《したた》るほど吸い取ってしまったため使い物にならない。恨むなら自分の担当バを恨んでほしい。

「私はその場にいなかったんですけど、ひどく動揺しているあの子を慰めるうちに何があったのかを知ってしまって……私も正直なところ、ショックを受けています」

「す、すまなかった!!」


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