【安価とコンマ】【相棒】安価とコンマで特命係になって事件を解決していく
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4: ◆PjUCtKulMQ[saga]
2021/12/12(日) 18:56:12.09 ID:FwABrILG0
4月某日、年度初めの捜査資料引継ぎ作業に追われる最中

『彼ら』は突然休暇を取った。

しかも1日や2日ではない。

「この忙しい時に休暇を取るなんて! しかも『こんな時』にばかりなぜ――」

警視庁刑事部のトップ『内村完爾』は後ろ手に結んだ自分の手を苛立ち交じりに強く握った。
怒り心頭の内村を前に、その腰巾着『中園照生(警視庁刑事部参事官)』は、「はっ」「その通りです」などと頭を下げながら相槌を打つしかなかった。
内村は完全に忘れているが、『彼ら』の休暇を良しとしたのは他でも無い内村自身だった。
しかし刑事部長室内でその事実を知るのは中園のみだった。指摘することはもちろん、できない。

『彼ら』――『特命係』が、この時期を狙ってどさくさ紛れに休暇を取ったのは言うまでもない。
『特命係』――警視庁の窓際部署。
故・小野田公顕官房長の置き土産。
窓際とて嫌いこそすれ、侮る者は最早いない。
知る人ぞ知る、難事件解決の導き手とも言える2人組。
窓際ゆえに、フットワークも軽く、窓際ゆえに警察という組織に縛られない。
そして『警視庁 陸の孤島』の2人に忙しい日は無いので他の刑事らとは関係のないことだった。
今頃各々有意義な旅を送っていることだろう。連絡も取れなくなっていた。
懲戒、減俸に該当するこのような行為ですら、彼らはやってのけてしまう。

窓際ゆえに、無敵だった。

しかし、今、その存在が必要となる状況が発生してしまった。
いつも知らぬ間に現場に入り込み勝手に推理を始めてしまう彼らだったが『現場』を荒らす者は居らずおよそ数年ぶりに都内の事件現場は静かだった。
――それではいけないのだ

「まったくけしからん!」

内村は憎々し気に独り言を呟いた。
更に内村は中園に何か伝えたげに合図を送る。
『ド・ン・ナ・手・ヲ・使・ッ・テ・モ・奴・ラ・ヲ・呼・ベ』

「い、いやです!」

中園にもプライドはあった。頭を下げて休暇を取り消してもらえという意思は伝わったがそればかりはできない。
内心それをやるべきは内村であるべきとそう考えていた。言わないし言えないが。

そんな無言の押し問答は、中園の『とあるひらめき』がきっかけで終わる。

「そ、そうです! 『特命係』に『代役』を付けてしまえば良いんですよ! 『彼奴ら』が所望するのは『特命係』。『杉下右京』、『冠城亘』である必要はないんですよお!」

「杉下らが帰って来るまでには、この程度の事件、特命が手を出さずとも我々の手のみで解決できるという話です!」

「ねっ、そうですよ! ねっ」

中園の必死の提案に、内村も唸りながら考える。

「そうだなあ……」

「そうかもしれんな!」

中園の安堵も束の間、内村は命じた。

「では、その『代役』探してこい!」

「えぇっ」

「今すぐ!」

「今すぐ!?」

「お前が提案したのだろう! なら今すぐだ!」

中年男の情けない悲鳴が警視庁内に響いた。


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