志熊理科「僕が男なら良かったのに」羽瀬川小鷹「そんな寂しいこと言うな」
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4:名無しNIPPER[sage saga]
2022/01/25(火) 23:59:22.98 ID:TbAmusgxO
「ありがとな、理科」
「ごめんね……小鷹」

暫く抱擁されていると、理科の心音が落ち着きを取り戻していく。そのまま、諭された。

「生物学的には紛れもなく女の子かも知れないけれど僕は精神的に普通の女の子じゃないから小鷹と生殖行為は出来ない。わかって」
「お前はただ、友達想いなだけだろ」
「……そういうことにしてくれると助かる」

友達なんだ。言外の意くらい伝わってるよ。

「僕が男なら良かったのに」
「そんな寂しいこと言うな」
「そうだね……小さくても胸もあるし」
「えっ? なんだって?」
「っ……離れろ! あっちいけっ! 嫌い!」

持病の突発性難聴の発作を起こした俺を理科が突き飛ばす。バランスを崩して、尻もち。

「うわっ!? 押すなって……あいたっ!?」

ぶちゅっ!

「だ、大丈夫!? ウミウシでも踏んだの?」
「大丈夫。ちょっとうんこ漏らしただけだ」
「フハッ!」

尻もちをついた拍子に糞を漏らしたと申告すると理科は愉悦を零す。気色に彩られた一輪の花もなかなか好みで、やはり好きだった。

「なあ理科。やっぱり俺はお前が好きだよ」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

哄笑する理科の自我は崩壊しているようで、危うげだけど、それでも無意識に手を伸ばしてまた俺を薄い胸にかき抱く。離したくないと言われているようで、離したくなかった。

「なあ、理解。これは生殖行為か?」
「ふぅ……違うよ。こんなの生物学に反してる。僕は望むところだけど、小鷹はどう?」
「望むところだ」
「ふふっ……友情が継続してなによりだよ」

この関係性が健全か不健全かと問われると完全に不健全だろうが、知ったこっちゃない。
俺は理科が好きままで友情も継続したのだ。

「友達以上恋人未満ってやつか」
「僕の主観では、恋人以上だよ」

友達が少ない俺たちには、丁度良い関係だ。


【俺たちは友達が少ない】


FIN


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