石動乃絵「フィラメントみたいに切れることはない」
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2022/02/15(火) 23:14:34.41 ID:Uv7BXwyvO
 「眞一郎は誰かのために戦いたいの?」 
  
 偽善。義憤。正義感。そんなの意味がない。 
  
 「そうだな……そうだとしても、そいつのためとは口が裂けても言わないだろうな」 
 「格好つけるため?」 
 「理由を自分で背負うため」 
  
 それが、格好つけるためだ。彼は認めずに。 
  
 「やり合うのは自分で、やっつけるにせよ、やられるにせよ、結局自分が背負うんだ」 
 「やっつけたらスカッとする?」 
 「まあ、その時はスカッとするだろうな。そんで、すぐに後悔する羽目になる」 
  
 男の子は馬鹿だと思う。わかっているのに。 
  
 「眞一郎は優しいね」 
 「へ? な、なんだよ、急に」 
 「相手の怪我の痛みをわかってあげられる」 
  
 今でも私の怪我は癒えない。胸が疼くから。 
  
 「眞一郎の偽善の裏にアブラムシ」 
 「俺の優しさはアブラムシか」 
 「眞一郎の怪我の痛みもアブラムシ」 
  
 私と同じように痛む胸を手のひらで撫でる。 
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