287:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:32:53.85 ID:XVB8s0iW0
  
 悪魔に人間の要素を加えることで、その悪魔の力は飛躍的に増しうる。 
 それは『果実』が究極的な形ですでに証明している。 
  
 とはいえ、この『果実』が究極的な形というのは、 
 実のところ誤り、むしろほど遠いものであった。 
 『果実』は多数の人間の魂と血で作りだされるものの、 
 所詮は死者によるもの、残骸の集まりでしかなく、 
 もっとも重要な人間の要素が欠落していた。 
  
 それは『心』である。 
 そしてスパーダにはそれがあった。 
 彼の内にある人間の要素はたった一人分、しかし紛れもなく生きた心。 
 物事を感じ、愛し、そして意志の力を生みだすという点で、 
 時間が止まってしまった死者の残骸とはまるで比較にならない。 
 そして悪魔の力へ与える影響も『果実』の比にならない。 
  
 悪魔に人間の要素を加えることで、悪魔の力は飛躍的に増しうる、 
 その究極系を真に証明したのは『果実』ではない。 
 この瞬間のスパーダこそがそうだった。 
  
 『果実』によってもたらされていたはずの魔帝の「運命」は、ここに消え始めた。 
 ある段階で、スパーダの武は魔帝を凌駕し、 
 「運命」もまた魔帝からスパーダの手中に移り始めた。 
  
 そして勝利への最後の一手が発動した。 
 愛するエヴァが授けた切り札、「時の腕輪」が。 
  
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