16: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:21:33.19 ID:bb4C09gAo
  
 「最近のあなたが結婚の話しかしないと、あの子が寂しがっていたのです」 
  
 鈍器で殴られたような衝撃だった。 
 ライラがそんな事を? 
 私の前ではそんな素振りも見せなかったのに? 
  
 ……いや違う。 
 私が気づけなかっただけだ。 
 ライラならばその気持ちすら押し隠すだろう。 
 私の手を煩わせないように、と。 
 そういう子である事は知っていたはずなのに。 
 話を進める事に囚われ、あの子の事をちゃんと見ていなかっただけなのだ。 
  
 「それでもあの子は、このままならば結婚を受け入れていたでしょう」 
  
 おそらく妻の言う通りだろう。 
 振り返ってみても、ライラが我が儘を言った記憶など無いに等しい。 
  
 「けれどそれでは、あなたの為に結婚をした事になってしまいます」 
  
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