4: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:13:14.05 ID:bb4C09gAo
  
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 そんな事になるなどと、その瞬間まで考えもしなかった。 
5: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:13:55.07 ID:bb4C09gAo
  
 「ライラはどうした?」 
  
 出迎えと言っても大仰なものではない。 
 誰かがいなければすぐに気がつく。 
6: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:14:42.13 ID:bb4C09gAo
  
 「そのことでお話があります」 
  
 穏やかな声にはしっかりとした芯が通っている。 
 その響きだけで、先ほどの想像が無用の心配だと理解できた。 
7: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:15:13.92 ID:bb4C09gAo
  
 ―――――― 
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8: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:15:55.37 ID:bb4C09gAo
  
 まずは落ち着かなければいけない。 
 吸う息で鼓動を鎮め、吐く息で雑念を払う。 
 ゆっくりと繰り返す内に、思考がクリアになっていく。 
  
9: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:16:26.02 ID:bb4C09gAo
  
 十分な経済力があり、家柄も申し分ない。 
 そして当然、本人の資質にも太鼓判が押せる。 
 海千山千の者どもと渡り合ってきた私の眼鏡に狂いはない。 
 この男ならばと、そう自信を持って言える相手なのだ。 
10: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:17:11.59 ID:bb4C09gAo
  
 「あなたは最近、ライラと二人で話をしましたか?」 
  
 動揺も後ろめたさもない、柔らかな声だった。 
 声音には私への理解さえも含まれている。 
11: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:17:46.95 ID:bb4C09gAo
  
 問いかけが針になって刺さる。 
 私が話をしている時、ライラはどうしていた? 
 ライラの目には何が映っていた? 
  
12: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:18:37.02 ID:bb4C09gAo
  
 確かに私たちの時と比べれば違いはある。 
 まず、ライラとその相手には面識がない。 
 だがそれは、私たちのケースが珍しいだけだろう。 
 今回の話が世間一般から逸脱しているわけではない。 
13: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:19:32.12 ID:bb4C09gAo
  
 「……ライラは違うというのか?」 
  
 「あの子は周りの幸せを自分の幸せにできる子です」 
  
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