14: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:45:54.44 ID:Sev9O2YP0
「分かったか?キノコもメタルも、金輪際手を出すな」
彼女は何も言う事ができず、うつむいたまま黙る。
「返事はどうした!!」
大の大人に怒鳴られ、輝子の小さな身体がビクンと跳ねる。
あまりの恐怖、また度重なる罵倒で委縮した事もあって、
彼女は小さく「はい」と答えてしまった。
「よし、じゃあ今から言う事を復唱しろ」
「『キノコは気持ち悪いだけのただの菌の塊です』」
「『メタルはオタクしか聴かない気持ち悪いな音楽です』」
心臓を掴まれたような気がした。これを言ったら、今までの自分を、
自分を支えてくれたトモダチを、全てを裏切る事になってしまう。
「ほら、早く言え」
だが、男の言葉で彼女の中に疑問が湧いてきた。キノコやメタルは本当に自分の思うように
良いものなのだろうか。誰にも理解されない、自分を独りにさせる物に、
これ以上執着するべきなのだろうか。
「なんだ、復唱の意味も分かんねえのか?小せえと思ったら中身も小学生か?」
彼女は俯いたまま、小さく首を振る。
男は足を踏み鳴らし、大きく叫ぶ。
「言えって言ってんだよ!言え!!」
輝子は涙をぼろぼろと零し、口を開いた。
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