星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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4: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:32:27.51 ID:Sev9O2YP0
「お疲れ、輝子!最高のライブだったな!」

「あ、ああ。ありがとう、プロデューサー」

楽屋に戻った輝子に男がタオルを手渡し、右手を挙げる。
彼女はタオルを受け取ると、その手に合わせるように弱弱しくハイタッチした。

男は彼女のプロデューサー。
輝子の趣味であるキノコとメタルを結びつけ、彼女をアイドルとして売り出した。
彼は自信を持って言う。「これが輝子の魅力を一番引き出せるプロデュースだ」と。
その言葉自体は間違っていないだろう。
だが、彼は内心焦っていた。
ハイタッチした右手を気恥ずかしそうに眺める輝子。彼女を見つめ、彼は考えていた。
観客が少なすぎる。彼女はもっと人気になっていい筈なのに。

本当にこれでいいのだろうか。

その言葉が頭に浮かんだ時、楽屋の扉が開く。
二人が音に反応して扉の方を見ると、一人の男が入って来た。

男は挨拶もなしに輝子に近付くと、じろじろと彼女の顔を眺める。
輝子は眉をひそめ、助けを求めるようにプロデューサーに視線を投げた。
プロデューサーは一瞬呆然としていたが、慌てて二人の間に割って入った。

「君、何の用ですか」

男はプロデューサーの言葉に反応したのかそうでないのか、小さく呟いた。

「顔は良いな」

ピクリと反応する二人。だが男は吐き捨てるように続けた。

「売れてないけど」

「なっ──」

プロデューサーはその男を連れ出そうと彼に迫った時、静止するように男は片手で名刺を差し出した。

「申し遅れましたが、こういう者です」

彼は別事務所のマネージャー、それも誰もが名前を知っているような、超大手のプロダクションだった。


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