170: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/03/17(金) 00:03:17.55 ID:a58gY65O0
交差点に鎮座する“落とし物”を目にした瞬間、挙母の言葉が途中で止まる。
近現代における「同種」と比較して、ソレは明らかに小さかった。具体的な例で言えば所謂【キューマル】や【エイブラムス】の半分程度の全長しかなく、全高も挙母が少し踏ん張って爪先立ちをすれば並べてしまえるのではないかという程度。
応じて“砲塔”もかなりこじんまりとしており、あからさまに威力は期待できない。少なくとも深海棲艦と相対すれば、駆逐イ級通常種の甲殻さえ抜けず一方的に吹き飛ばされるだろう。
だが、間違いなくソレは“一種”だった。やや車輪の大きな履帯、52口径の回転する上部砲塔、全体的に丸みを帯びた輪郭の中で、前面の角ばった突起部から顔を覗かせる車載機銃。
交差点に佇むソレは、紛れもなく【戦車】であった。
そして、挙母は知っている。その戦車が、第二次世界大戦に運用されていたイギリスの戦車であると。
Mk.Z軽戦車【テトラーク】が、その軽さと小ささを活かして“D-DAY”に関連した幾つかの軍事作戦で使用された「空挺戦車」であると。
そして────戦車道、分けても【タンカスロン】において重用され、あの“大鍋”では聖グロリアーナ学園も用いていたと。
@# _、_@
( ノ`)「………………ハッ」
思わず、自分らしからぬ歪んだ笑みが浮かぶのを感じつつ、挙母は無線のスイッチを入れる。
@# _、_@
( ノ`)「渡辺、“もう一両”はどの辺りに投下された?」
从' '从《泉町大通り方面、ホテル・ザ・ウエストヒルズ・水戸前ですねぇ。【Faker】チームが付近に展開してます〜》
@# _、_@
( ノ`)「そうかい」
この“贈り物”を寄越してきた奴は、間違いなく南慈英とは別人だ。その正体は解らないが、意図については概ね挙母にも予想がついた。
そして、仮に予想が正しければ、笑わずにはいられない。
@# _、_@
( ノ`)「国籍は問わない、英語は全員できるだろうからね。とにかく、戦車道の経験者を三人集めるように言っときな。こっちは二人でいい、車長はアタシがやれる」
@# _、_@
(# ノ°)「せっかくのプレゼントだ、しっかり使わせてもらおうじゃないか。日本生まれの“乙女”として、ねぇ」
どこのどいつだか知らないが………まさか首相・南慈英に匹敵する悪辣さを持った“逸材”が、この世にいるとは思わなかった。
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