50: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2022/09/20(火) 19:40:19.05 ID:CoVkH/xM0
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フランス陸軍大尉、ツン=デレ。
大隊における機甲戦力指揮を一手に担うこの才女様は、“女の勘”についても非常に秀でたものを持っている。
特に奴さんが俺を探し当てる時の精度ときたらAC-130による対地砲撃もかくやのものがあり、未だかつて逃げおおせられた試しがない。
今日も、そうだ。ドイツ入りしてからまだ2ヶ月も経っておらず、この大隊の作戦行動も戦力が取り分け薄い中央戦線から西がメインとなる。チェコやポーランドと容易に連携が取れる東部に関しては、今回を含めまだ数えるほどしか派遣されていない。
だからリーザ近郊の土地勘なんざ持っているはずはないのだが、この才女様と来たら憤怒の表情を浮かべて眼の前で腰に手を当てて仁王立ちしてやがる。
こちとら構築された野戦陣地の隅っこに、目立たぬよう座り込んでいたにも関わらず、だ。
ξ゚听)ξ「ねぇ、いい加減やめにしない?あの戦術」
('A`)「無理だ」
このやり取りももう何度目だろうか、10回を越えた辺りからもう記憶は曖昧だ。今の拒否だって、口と頭が完全にパターンとして覚えちまっていて殆ど無意識に近い。
('A`)「深海棲艦を迎撃する上で現状一番有効かつ確実な戦術だぞ、それを自分たちで封じるのは正気の沙汰じゃねえよ」
ξ゚听)ξ「上層部からは“一刻も早く中止するように”って再三再四お達しが来てるって聞いたけど?」
('A`)「“政治的な理由で”な。戦術的、戦略的に否定されたわけじゃない」
確かにドイツ軍司令部からもローマに置かれた東欧連合軍の総司令部からも、今日のような“白兵突撃”の実施を即刻中止してほしいという話は幾度となく来ている。その頻度と勢いがグロスフスMG42機関銃のフルオートに勝るとも劣らないものであることも否定しない。
だが、それらはあくまで“要請”に留まる。“指令”ではないため遵守する義務はない。またその理由も、“民間への漏洩時に深海棲艦の実力を過度に軽視する誤った風潮の流布が懸念される為”というものであり、さっき言った通り多分に政治的な事情を汲んだものだ。
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