225: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/08(火) 14:54:18.20 ID:YYNh6Lpr0
  
 かすみ「み〜つ〜け〜ま〜し〜た〜よ〜……!!」 
  
 おじさん「お? どうしたんだい? “こわいかお”して……おじさんの素早さが下がっちゃうじゃないか。なんつってな、がはは」 
  
 かすみ「怖い顔してじゃないです!! この“ボロのつりざお”返品します!!」 
  
 おじさん「おや、それは困るよお嬢ちゃん。もう使用済みだろ? 返品は受け付けられないねぇ」 
  
 かすみ「使用済みも何も、そこらへんにある棒と糸じゃないですか!! こんなの商品じゃないです!! サニーゴ釣れないし!!」 
  
 おじさん「コイキングは釣れただろう? “つりざお”としての役割は十分果たされているじゃないか」 
  
 かすみ「かすみんはサニーゴが釣りたかったんです!!」 
  
 おじさん「サニーゴが釣れるなんて、言った覚えはないねぇ」 
  
 かすみ「そもそもかすみんは最初から、サニーゴが釣りたくてって話してたはずです!! そんな理屈通じませんよ!! お金返してください!!」 
  
  
 かすみんはおじさんを睨みつけながら、捲し立てる。 
  
 だって、こんなの絶対納得いかないもん! 
  
  
 おじさん「はぁ、全く困ったねぇ……ときどき、君みたいないちゃもん付けてくる客がいるんだよ」 
  
 かすみ「かすみんをクレーマー呼ばわりですか!? いい度胸ですね……!! ゾロア!!」 
  「ガゥガゥ!!」 
  
 おじさん「おっと、暴力は勘弁してくれよ……わかった、返品は受け付けられないが、とっておきのモノを売ってあげよう」 
  
 かすみ「はぁ!? まだ、何か売りつけるつもりですか!?」 
  
 おじさん「まあ、話を聞いてくれって。要はサニーゴが手に入ればいいんだろう?」 
  
 かすみ「……え、ええ、まあ、そうですけど……」 
  
 おじさん「だから、そのサニーゴを売ってあげようって言ってるんだ」 
  
 かすみ「……はい?」 
  
  
 そう言いながら、おじさんはがさごそとバッグを漁り、そこから1個のモンスターボールを取り出してかすみんに見せてきます。 
  
  
 おじさん「この中に、サニーゴが入ってる」 
  
 かすみ「はぁ……そんなあからさまな嘘吐かれても、かすみんわかっちゃうんですからね」 
  
  
 溜め息を吐きながら、ポケモン図鑑をボールにかざす。 
  
 これで、別のポケモンの名前が表示され──ると思ったんだけど、 
  
  
 かすみ「……あ、あれ……?」 
  
  
 確かにそこには『サニーゴ』の名前が表示されていた。 
  
  
 かすみ「ホントにサニーゴだ……」 
  
 おじさん「だから、言ってるだろう? こいつを3000円で君に譲ってあげよう」 
  
 かすみ「高いです」 
  
 おじさん「そこの釣りショップで“つりざお”を買ったら、安いものでも5000円はする。さっき売った“つりざお”と合わせてもお釣りがくるんじゃないかい?」 
  
 かすみ「せめて1000円にしてください」 
  
 おじさん「2500円」 
  
 かすみ「1200円」 
  
 おじさん「2000円」 
  
 かすみ「……1500円。これ以上は譲れません」 
  
 おじさん「……仕方ないな、1500円だ」 
  
 かすみ「……」 
  
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