293: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/11(金) 16:12:50.47 ID:xkYIlSIn0
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しずく「皆さん!! 下がってください!! 危険ですから!!」
虫取り網片手にスボミーを追いかけまわす大人たちの集団に向かって、声を張りあげながら追いかける。
町人「なんだい、お嬢ちゃん……? 今忙しいんだ、後にしてくれないか」
集団の一番後ろに居た男性が立ち止まって、嫌そうな顔を私に向けてくる。
しずく「はぁ……はぁ……危ないので、スボミーを追いかけまわすのはやめていただけませんか……?」
町人「危ないから、こうして捕まえようとしているんじゃないか」
しずく「だから、それが危ないんです……相手はポケモンなんですから、虫取り網なんかじゃ捕まえられませんよ……」
町人「そんなことはみんなわかっているよ」
しずく「ならなんで……」
町人「ジムリーダーのいない今、私たちが捕まえるしかないだろう。それとも、暴れ回るスボミーを黙って見ていろとでも言うのかい?」
しずく「そ、それは……」
町人「次は自分の家族が襲われるかもしれない。そうなる前にどうにかしなくちゃいけないんだ。もう私は行くよ。邪魔はしないでくれ」
そう言い残して、男性は再びスボミーを追いかけて走り去ってしまう。
「勇敢と無謀を履き違えているロトね」
しずく「……」
ロトムが毒づく。……確かに無謀だ。恐らく放っておけば怪我人が出る。
だけど、男性の言うことも尤もだった。放っておいても、スボミーがここに現れる続けるなら、さっきの私やかすみさんのように被害者はきっと増え続ける。
そうなれば、無茶でも無謀でも立ち向かおうとする人間が出てくるのは頷ける。
……なら、私はどうする?
「しずくちゃん。これはこの町の問題ロト」
しずく「……そうですね」
ロトムが遠回しに、首を突っ込むなと言ってくる。
理由は恐らく──今、私がどうにかする術を持ってしまっているからだ。
私は、無言のまま手持ちのポケモンたちをボールの外へと出す。
「マネ!!」「ピィィ」「メソ…」
しずく「みんな、力を貸して」
「マネネ!!」「ピィィィ!!」「メッソ…」
「しずくちゃんが、あの人たちの代わりにスボミーを倒すつもりロト?」
そう、私はポケモンと戦う術を持っている。だから、スボミーと戦って無力化することは出来るはずだ、でも……私がしたいのはそういうことじゃない。
しずく「私は……あのスボミーがどうして人を襲っているのかをちゃんと知る必要があると思うんです」
「どうしてロト?」
しずく「私の家は、サニータウンにあったので……毎日学校に通うために、セキレイシティに行く通り道の太陽の花畑で、何度も野生のスボミーを見てきました──」
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