783: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/07(水) 12:18:08.88 ID:0Ok5BWPG0
  
 空を旋回しながら、“みずでっぽう”を撃ち下ろしてくるけど、お互いが高速で動き回っているせいか、狙いが定まらない様子。 
  
 ……お陰で、浮島がめっちゃ揺れて酔いそうなんですけど……。 
  
  
 かすみ「で、でも、そろそろ限界なんじゃないですか……!」 
  
  
 揺れるフィールドの上で四つん這いになりながら、タマンタを見上げると── 
  
  
 かすみ「……あ、あれ……? 全然下りてきてないような……?」 
  
  
 むしろ……ちょっとずつ高く上がってるような……? 
  
  
 侑「かすみちゃーん!! タマンタ、“みずでっぽう”の反動で飛んでるよ!?」 
  
 かすみ「はぁ!?」 
  
  
 言われてやっと気付く。 
  
 タマンタは攻撃のために“みずでっぽう”を撃ってきたんじゃなくて──反動で、揚力を得るために水を噴射していた。 
  
 カイトの要領で旋回していたから、そのうち落ちてくると思ったのに……これじゃ、いつまで経っても着水しない。 
  
 海中をトラップで制圧したつもりだったのに、これじゃ……。 
  
  
 曜「さぁ……空からの攻撃、いくら素早くても、一生避け続けられるもんじゃないんじゃないかな……!」 
  
 かすみ「っ……!」 
  
  
 形勢が逆転している。 
  
 いくら命中精度が悪い状態とはいえ、ずっと撃ち続けられていたら、いつか当たってしまってもおかしくない。 
  
 きっと攻撃が命中したら、怯んだ隙をついて、畳みかけてくるはずだ。 
  
  
 かすみ「──……ま〜、自分から空に留まってくれるなら、こっちとしては万々歳なんですけどねぇ〜……♪」 
  
 曜「……え?」 
  
  
 かすみんはあまりに事がうまく運びすぎて、思わずニヤッと笑ってしまう。 
  
  
 曜「もう、かすみちゃん……そんな言葉で揺さぶろうなんて……」 
  
  
 曜先輩は溜め息交じりに言いながら──急にハッとして、かすみんと同じように身を屈めた。 
  
  
 曜「こ、この臭い……!? タマンタ!! 高度落として!!」 
  「タ、タマァ…」 
  
  
 気付けば、空で滑空するタマンタの軌道はふらふらとし始めていた。 
  
  
 かすみ「もう遅いですよ!! ……とっくにこの上空には“どくガス”が充満してますからね!!」 
  
 曜「で、でも、ヤブクロンはそんな素振り……。いや……まさか、あの“ボディパージ”……!?」 
  
  
 曜先輩はカラクリに気付いたようで、ヤブクロンが“ボディパージ”でフィールド上に吐き出した──ヤブクロンの体の中で発酵された花に目を向けた。 
  
  
 かすみ「にっしっし……♪ そうです、そのヤブクロンが吐き出したお花がずっと“どくガス”になって上空に昇り続けてたんですよ!」 
  
  
 ヤブクロンにはあえて──毒性の強い花を吐き出すように予め打合せをしておくことで、“ボディパージ”はただ素早さを上げるだけでなく、“どくガス”発生装置にもなるということです!! 
  
  
 曜「く……! “ハイドロポンプ”で吹っ飛ばして!!」 
  「タ、マァァァーーー!!!!」 
  
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