831: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/09(金) 12:36:49.51 ID:9oar5n900
  
 真姫『今は寮?』 
  
 菜々「いえ、実家です」 
  
 真姫『実家なの……?』 
  
 菜々「はい。たまには顔くらい見せないと……両親に悪いですし……」 
  
 真姫『大丈夫……?』 
  
 菜々「ふふっ、大丈夫も何も、自分の家ですよ」 
  
 真姫『それはそうだけど……』 
  
 菜々「心配してくれて、ありがとうございます。……お父さんもお母さんも、厳しいですけど……私のことを想って言ってくれてるだけですから」 
  
  
 そんなお父さんとは会えそうもないですけど……。 
  
  
 真姫『そう……。……でも無理はしちゃダメよ』 
  
 菜々「はい、ありがとうございます」 
  
  
 いろいろと事情を知っている真姫さんは、何かと気遣ってくれる。 
  
 彼女には本当に頭が上がらない。 
  
  
 真姫『それと今日の午後から天気が崩れそうだから、気を付けてね。それじゃ』 
  
 菜々「はい」 
  
  
 通話が切れる。 
  
 ふと窓から外を見ると──真姫さんの言うとおり、空は曇天に覆われていた。 
  
  
 菜々「これは……確かに天気が崩れそうですね……」 
  
  
 あまり酷くならないと良いのですが……。 
  
  
  
  
  
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 真姫「…………」 
  
  
 菜々との通話を終えて、私は少し複雑な気分だった。 
  
 菜々は……なんというか、危うさがある。 
  
 優しすぎると言うか……真面目すぎるというか……無垢というか……一切ズルさがないのだ。 
  
 まあ……だからこそ、面倒を見ている節はあるのだけど……。 
  
 梨子のことと言い、私はどうやら、ああいう子たちを放っておけない性質らしい。 
  
  
  
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