858: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/10(土) 16:18:15.56 ID:hRdoaDre0
「グラー…」
歩夢「トドグラー、おかわり欲しいの? 今日は頑張ったもんね。はい♪」
「グラァ…♪」
しずく「歩夢さんは……すごいですね」
歩夢「え?」
しずく「こんなときでも……ポケモンたちを大切にしていて……。……私は、いつも自分のことで精いっぱいで……ポケモンたちには助けてもらってばかりで……」
歩夢「しずくちゃん……?」
口に出してから、またやってしまったと思った。
しずく「す、すみません……! なんでもないんです……」
歩夢「……」
……でも、こんなことを言って誤魔化しても、歩夢さんがなんでもないなんて思ってくれるはずもなく。
歩夢「トドグラー、ちょっとごめんね」
「グラァ…」
“ポフィン”を食べているトドグラーの傍から離れて、歩夢さんは私の隣に腰を下ろす。
歩夢「やっぱり……何か、悩んでるんだね」
すぐ隣で私の顔を心配そうに覗き込んでくる歩夢さん。
しずく「……それは…………」
でも、私はなんだか気まずくて、目を逸らしてしまう。
歩夢「……もしかして──……最近マネネをあんまりボールから出してないことと、何か関係あるのかな……?」
しずく「……え?」
私はその言葉に驚いて、せっかく目を逸らしたのに、思わず歩夢さんの方をまじまじと見つめてしまう。
歩夢「えっと……あんまり、聞かれたくなかったかな……?」
しずく「あ、いえ……その……。……歩夢さんには……そう、見えましたか……」
歩夢「……うん。しずくちゃん、いつもマネネと一緒だったのに……セキレイに戻ってきてから、あんまりマネネをボールから出してなかったから、何かあったのかなって……」
しずく「…………歩夢さんには、敵いませんね……」
歩夢「マネネと何かあったの……?」
しずく「何か……というわけではないんですが……」
私はマネネのボールを手に取って、見つめる。
すると、ボールがカタカタと震えるのがわかった。
しずく「前に……ロトムの話をしましたよね」
歩夢「うん。鞠莉さんのロトムのお話だよね」
しずく「……ロトムはイタズラ好きなポケモンで、すごく子供っぽいと言いますか……。その気性が故に、精神的に成長していく鞠莉さんと少しずつ噛み合わなくなっていって……ケンカをしてしまったそうです」
歩夢「でも、しずくちゃんが昔の気持ちを思い出させてあげて……また仲直り出来たんだよね?」
しずく「……はい」
ただ、私はそのとき……いいや、正確にはその後、だけど……思ってしまった。
1002Res/2130.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20