20: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/11/25(金) 00:17:23.89 ID:YjhaJr8i0
そんな中、私の手に、何かが触れた。
柔らかくて暖かくて、きゅっと私の手を握った。
それは、星梨花ちゃんの、小さな両手だった。
私が顔を上げると、目の前に星梨花ちゃんがいた。
「わたしも……以前げき子さんと同じことを悩んだときがありました。可奈さんと海美さん、志保さんとのユニット――『Clover』のために、わたしは何ができるんだろう、って」
私の手を握ったまま、星梨花ちゃんは少し伏し目がちに話し始めた。
「でも……そんなとき、亜利沙さんがわたしに『たとえ小さく儚いと思っても、そこにいることに絶対意味はある』、『わたしの輝きで救われる人もいる』って言ってくれたんです。
だから、わたしも『Clover』の一員として……劇場のアイドルとして、わたしが今できることを目一杯頑張ろう、って思えたんです」
星梨花ちゃんの手から伝わってくる温もりが、ひときわ強くなる。
それが私の腕から体へと染み込むように伝わって、胸の奥の絡まった結び目が解けていくような気がした。
「星梨花ちゃんみたいに、私も見つけられるかな……? 私がみんなにできること……私の、輝き」
「きっと、大丈夫です。げき子さんも、きっと……」
私たちは、祈るように手を重ねた。
私だけの輝き、私だけの光――それが本当に私の中にあるのか、まだ見当だってつかない。
だけど、星梨花ちゃんの手の暖かさが心地良くて、もう少しだけこうしていたいと思った。
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