76: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:34:10.60 ID:EM6Mdgk00
  
 特別に歌がうまいわけではない。 
  
 それでも、小さな体から発せられている歌声は、このステージの先にきっとある、夢を信じていたからだろう。 
  
 必死に歌い、必死に踊る、その一挙手一投足に目を奪われていた。 
  
 心のなかでは(がんばれ!)と何度も叫んでいた。 
  
 「ありがとうございました!」 
  
 曲が終わったと同時に、自然と拍手をしていた。 
  
 ただ、拍手も歓声もまばらだった。 
  
 そう、彼女はまだまだデビューしたての地下アイドルだったのだから。 
  
 彼女の出番の後も、ライブは順調に進行していった。 
  
 何人かの地下アイドル、何組かのインディーズバンドのパフォーマンスが続けられたが、頭の中には、彼女の、夢をまっすぐに信じる瞳と、喜びを弾けさせた笑顔だけが残っていた。 
  
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