82: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:38:31.04 ID:EM6Mdgk00
  
 ―――目が覚めた。 
  
 何度も見てきた夢だけど、ここまで鮮明にあの頃を思い出すのは久しぶりのような気がする。 
  
83: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:39:04.55 ID:EM6Mdgk00
  
 「あら、おはようプロデューサー君」 
  
 「おはようございます。川島さん」 
  
84: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:39:42.80 ID:EM6Mdgk00
  
 「おはようございます。プロデューサーさん」 
  
 「おはよう、佐々木さん」 
  
85: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:40:12.14 ID:EM6Mdgk00
  
 控えめでおとなしい少女だが、学ぶことへの積極性は眼を見張るものがある。 
  
 先ほどから川島瑞樹と共に新聞を読んでいたが、読めない字やわからない表現が出てくると、川島瑞樹に尋ねていた。 
  
86: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:40:42.14 ID:EM6Mdgk00
  
 「川島さん。少ししたら、来週のスケジュールを確認しましょう」 
  
 「わかったわ。いつでも声をかけてね」 
  
87: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:41:12.87 ID:EM6Mdgk00
  
 「おはよう!プロデューサー君!なにか用事ある?」 
  
 そうこうしていると、片桐早苗がやってきた。 
  
88: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:41:47.66 ID:EM6Mdgk00
  
 二人のスケジュールを確認し、今のところ無理のない配分になっている事を確認する。 
  
 川島瑞樹には新しい化粧品のCMとバラエティ番組でのレポートコーナーへのオファーを、片桐早苗には数件の営業への出演予定を伝えた。 
  
89: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:42:23.42 ID:EM6Mdgk00
  
 今日は何件かの広告代理店、ドラマの制作会社、提携先のレコード会社を訪問する。 
  
 季節は初夏。外回りをするのにも難儀な季節になってきたが、すべてはアイドルのため。そう思うと何の苦にもならない。 
  
90: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:43:24.09 ID:EM6Mdgk00
  
 「前職は警察官でしたが、お祭好きの明るい性格。片桐さんはそんな女性でしたね」 
  
 レコード会社での打ち合わせの際、先方のプロデューサーが切り出してきた。 
  
91: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:43:57.86 ID:EM6Mdgk00
  
 そんな矢先、ポツリ、と鼻先に水滴が降ってきた。 
  
 (今日は、夜から雨だったか?) 
  
92: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:44:58.18 ID:EM6Mdgk00
  
 19時、夜の帳が下り、街頭の光が雨に反射して、光の道を作っているようだった。 
  
 雨は少し勢いを弱めていた。今のうちに少しでも、と道向かいの屋根付き歩道に移動する。 
  
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