128: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/16(月) 17:52:53.16 ID:xLULnzaZ0
果林「……それにしても、しずくちゃん……本当に克服しちゃったのね」
果林さんは突然、感心したように言う。
しずく「克服……?」
果林「フェローチェのこと。さっき、戦ってたんでしょ?」
しずく「……えっと……はい」
果林「貴方の目は……今でもちゃんと、フェローチェの毒に侵された人特有の目をしてるのにね」
しずく「そう……なんですか……?」
果林「ええ。長年フェローチェを使ってきた私が言うんだから間違いないわ。毒の因子は身体の中にまだあるのに……精神力で抑えつけてる。これってとんでもないことなのよ?」
しずく「……は、はい……。……えっと……はい」
盛大に気まずい。特にフェローチェの話は……。
果林「もう、そんなに緊張しなくていいじゃない。今は味方なんだし……私、これでもしずくちゃんのことは結構認めてるのよ?」
しずく「認めてるって……」
果林「貴方には、悪のカリスマがあるわ」
しずく「悪のカリスマ……」
なんだそれはと眉を顰めてしまう。
果林「ええ。目的の為なら、他者を騙すことも厭わないところとかね」
しずく「……嬉しくありません」
果林「そう? ごめんなさい」
謝りながらも、果林さんはくすくすと笑う。
果林「ただね、それはしずくちゃんの強みだと思うわ」
しずく「強み……ですか……?」
果林「普通、人って……誰かに嘘を吐いたり、ズルいことをするときに、どうしても遠慮しちゃうと言うか……ストッパーが掛かっちゃうものなのよ」
しずく「……私も人を騙すときは、良心を痛めていますよ?」
果林「そうかもね。でも……それでも、大切な人たちを助けるためなら、その良心の痛みに耐えられるんでしょ?」
しずく「それは……そうですけど……」
果林「それはね、きっと貴方の仲間たちには出来ないことよ。侑も、歩夢も、かすみちゃんも、せつ菜も……みんな素直過ぎるのよ。自分に嘘が吐けない良い子たち」
しずく「…………」
果林「だから……しずくちゃん。貴方のズルさが必要なときは、その力でみんなを守ってあげるといいんじゃないかしら」
しずく「そんなことが起こらないのが、一番いいと思います……」
果林「そうね。また悪い人が、お友達を利用するために連れ去っちゃったりしたら嫌だものね」
しずく「……ホントですよ」
ウルトラディープシーでの日々は……歩夢さんを助けるためとはいえ、すごく精神を消耗した。
出来ることなら、もうあんなことは起こらないで欲しい……。
もし起こったら……また同じことをするでしょうけど……。
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