952: ◆15vHdNAAAEr/[sage saga]
2023/11/11(土) 00:19:33.57 ID:KlTU4nzSo
 シキ「え……」 
  
 雪菜「あ……」 
  
 シキ「こ、こんな時になに言ってるのです……」 
  
 朱「あら、あたしは本気よ?」 
  
 シキ「本気って……」 
  
 朱「だってここでどれだけ考えても、結局なにも分からないでしょ? 本人がいないんだもの」 
  
 シキ「そ、そうだけど……!」 
  
 朱「だから聞きに行くの」 
  
 シキ「でも……」 
  
 朱「シキちゃんは反対?」 
  
 シキ「そうじゃ……ないけど……」 
  
 朱「うん」 
  
 シキ「でも……でもね、話聞いてくれるか分かんないのです……」 
  
 朱「分かってる。素直に聞いてくれるなら、こんなことになってないもんね」 
  
 シキ「……シキはね、桜野が泣いているところ、見たことないのです」 
  
 シキ「少しくらい弱さを見せてほしかったのです。でもいつだって、大丈夫って言われるのです。たまには泣いてもいいのですって言っても、実はこっそり泣いてるんだって笑ってごまかされたのです」 
  
 シキ「あんな環境にいても桜野はずっと強かった。不安すら通り越して、もしかしたら本当に大丈夫なんじゃないかって思っちゃうくらい……」 
  
 シキ「だからシキは分からなくなった」 
  
 シキ「何をしたらいいか、桜野が本心でなにを望んでるのか、本当に助けを必要としてるのか……シキにはもうなにも分からないのです」 
  
 シキ「もしかしたら、もしかしたらだよ? 桜野に追いついたとしても、助けなんかいらないって拒まれるかもしれないのです」 
  
 朱「……そうね」 
  
 シキ「それでも行くの?」 
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