剣聖が鍛冶屋を営むようです
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13:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:05:48.70 ID:FlPArUl3O
先払いで賃貸料を支払ったステラは、速い安い美味いのキャッチコピーの意味を身をもって思い知らされていた。
こんな大きな買い物が即日契約で終わるなど正直普通とは思えない。先払いで即金払いしたのが余程効いたのだろうか。

そんなことを思いながら、肉汁たっぷりハンバーガーを頬張る。店員はさっさと帰ってしまったので、腹を満たすために食べ歩きの最中である。
商品が全て売り切れたのだろう。気になっていたパン屋は既に閉店していた。
名前は【どらごんべーかりー】。女性が書いたような文字に可愛らしいデコレーションがされている看板が特徴だ。
徹底的にディフォルメされたドラゴンが火を吹いてパンを作っているような絵が目を引く。これだけ見ればドラゴンにも愛嬌はあるのだが。

ステラはドラゴンが嫌いだ。とても嫌いだ。冗談抜きで大っっっっっっっ嫌いなのだ。
その理由は家族を皆殺しにされ、故郷を焼け野原にされたからという単純明快にして至極当然なもの。これで好きになれるわけがない。もしいたらその人間は気が狂っている。
とはいえ、ドラゴンは全て滅ぼすべきというほど蛮族極まる暴論を振りかざしているわけでもない。
人類に与するドラゴンがいるのも把握している。何なら雪山で遭難した時に助けてもらったことがある。
人類に害なす存在だったなら問答無用でぶち殺すだけ。ただそれだけの話だ。

ちなみに、故郷を焼き尽くしたドラゴンは他ならぬステラの手によって命を絶たれている。
S級冒険者として認定されたのも、その功績が評価されたからだ。ステラの全身に刻まれた火傷の痕も、件のドラゴンが原因である。


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