8:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 22:52:28.87 ID:49voo3/L0
買ったばかりの白い日傘を取り出し、可愛らしげなストラップを外しながら、撫子は妹に声をかける。
「そういえば、ひま子と仲直りできたみたいだね。昨日うちに来たんでしょ?」
「あー、うん」
「してみたの? アンガーマネジメント」
「あっそれ! それやったらなんか向日葵が大人しくなって、一緒に遊ぶことになった!」
「……なにそれ」
わかんないけど、でも上手くいったの! とピースする櫻子を見て、撫子は可笑しそうに笑った。
きっと、向日葵が大人しくなったのではなく、櫻子が大人しくなったのを見て向日葵が矛を収めたのだろうと予想する。6秒の間に櫻子が何を思ったのかはわからないが、ケンカの最中に大人しくなるだけでも充分効果があったのだ。
すぐ感情的になる櫻子には難しいかもしれないと思いながらも聞かせてみただけたったのだが、とりあえず丸く収まったようだと安心し、撫子はぱすんと日傘を差した。
「じゃあね」
「いってらっしゃーい」
撫子の日傘が遠くに消えていくのと同時に、今度は花子が庭への窓を開けてやってきた。タオルを持ってきただけかと思ったら、ちゃっかりとスクール水着を身に着け、丁寧に水着帽まで被っている。
「なに花子、準備万端じゃん!」
「タオル持ってきてあげたんだから、これくらい当然の権利だし」
「そんなに櫻子様と遊びたかったのか〜、このこの〜♪」
「きゃっ! 冷たい!」
庭に出てきた花子の足にホースを向けて水を少しかけ、櫻子は楽しそうに笑った。
空は昨日に負けないくらい青く澄み渡っており、遠くには今日も大きな入道雲が見える。厳しい日差しに思わず目を細めながら、そろそろとプールの中に足を入れる花子を眺め、櫻子はぐぐっと背を逸らした。
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