152: ◆VLsOpQtFCs[saga]
2024/11/10(日) 22:22:36.54 ID:3Pj4f47dO
 現在探しているデジモン…それはクジラ型デジモンのホエーモン。 
  
 我々が最初に発見した個体は、イルカ型成熟期デジモンであるルカモンが、オクタモン一味に襲われている最中に進化したレベル5の個体だった。 
  
 凄まじい高出力の戦闘能力と、莫大な消費カロリーを持つ。 
 これまでにデジタルワールドで観測された中で最大のDPと巨体をもち、ジャガモンやシューティングスターモンを遥かに上回る。 
  
 ホエーモンはオクタモン一味のゲソモンとシェルモンを瞬殺した。 
 オクタモンも危うく殺されかけたが、浅瀬へ逃げ、そのまま汽水域まで進み…、そこでホエーモンが岩場へ座礁したことで、どうにかオクタモンは生き延びた。 
  
 だがオクタモンは二度と海に戻らなかった。 
 本来、成熟期デジモンは個体としての成長が完成しているが故に、成長期デジモンに比べて環境への適応能力に乏しい。 
 だからオクタモンは定説通りならば海水から出られない…はずだった。 
 だが、オクタモンは汽水域へ、やがて淡水へ、進出した。 
 身体から塩分が抜けていく地獄の苦しみを味わい続けていたが、『戻ってホエーモンに食われたくない』という一心でその苦しみに耐え、淡水に耐えるトレーニングを続け、身体を適応させていった。 
 そうしているうちに、やがてオクタモンはレベル5へ進化し、陸上へ進出した。それが今我々の目の前にいるベーダモンである。 
  
 こんな無茶で急激な進化をしたせいか、産んだデジタマが陸上では孵化しないようだ。だから我々にデジタマを預けてきたのだ。 
 無理のない話だ。両生類型デジモンや、初期のヌメモンだってデジタマは水中に産んでいた。ベーダモンもそうすればいいのではないかと提案したのだが… 
 ホエーモンへの強い恐怖心から水中生活にトラウマがあるらしく、頑なに水中にデジタマを産むのを恐れている。湖や池でもダメらしい。 
 このままでは埒が明かない。無理に陸上での孵化を目指すプランよりも、ベーダモンのトラウマを払拭させるプランの方がよほど現実的だ。 
  
 だからホエーモンが現状でも海で暴れているかどうかを確かめるために、今デジドローンでホエーモンを探しているのだ。 
  
 しかし、広い海のどこかへやみくもにデジドローンを潜航させてもホエーモンがピンポイントで見つかるとは限らない。 
 ガッチモンの検索能力は水中には未対応である。 
  
 そのため、まずは寒冷地の陸上で、ホエーモンの痕跡を(半ばダメ元で)探しているのだ。 
  
 そうしている我々(のデジドローン)の目の前に現れたのが、この奇妙な姿のデジモン。 
 シャチに二足歩行の手足が生え、浮き輪とライフジャケットを着用したような姿のデジモンである。 
 命名オルカモン。 
  
 …その容姿には、明らかにルカモンやホエーモンの面影があった。 
  
 エレキモンが一度海に進出したのがルカモン、そしてホエーモン。 
 おそらくこのオルカモンは、その系統が再び陸上への適応能力を取り戻した形態だ。 
  
 我々の世界にこのようなニッチの生物は存在していない。 
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