107:1[sage]
2010/07/12(月) 00:52:11.04 ID:k/jVEt.o
「ディー」
家を出たダルクは、使い魔の一つ目コウモリを呼んだ。
すぐさま軽い羽ばたきと共に、夜闇からD・ナポレオンが現れる。
すでに日は落ち、夜の時間が流れ始めていた。
すなわち闇の霊術を業とするダルクの活動時間。
「行こう」
玄関を出て、いつもどおり戸締りをしようとしたところで――ピタリと動きを止める。
すぐに向き直し、家のカギをかけないまま三段足場を降りていった。
本来なら、魔鳥の頭蓋を象ったアタマでっかちの杖をかざし、結界を用いた強固な施錠をかけて出かける。
今晩は家の中に宿泊客がいる。
まだ越したばかりなので施錠の原理は分からないが、少なくとも杖を用いなければロックの開閉は不可能だ。
したがって外から家の出入り口を施錠すれば、中にいる者は監禁されてしまう。
宿泊客の女の子――ウィンを監禁。
ポニーテールでミニスカートの風霊使いを監禁……
「してどうするバカ!」
使い魔がビクリと驚き、困惑したように飛び回る。
ダルクはむずがゆい胸をおさえ、紅潮した顔で咳払いした。
カギをかけないまま家に背を向け、林の方へ突き進む。
ウィンにはちゃんと出かける旨を伝える書き置きを残してある。
ダルクが戻るまでに起きても、書いてあることを理解してくれれば勝手に帰ってくれるだろう。
ちなみにあとから着いてこられると困るので行き先は書かなかった。
これは間違いないと思う。
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