112:1(ストック終)[sage]
2010/07/12(月) 01:18:17.36 ID:k/jVEt.o
「おー頑張れよー」
「グルルル」
「ウホッウホッ」
道中、様々なモンスターとすれ違った。
中には一瞥しただけで通り過ぎるものもあったが、大抵のモンスターは友好的に声を投げかけてくれた。
前にここに来たとき師から聞いた話を思い出す。
この火山に点在する温泉は、ヘルフレイムエンペラーの加護がある限り永久公共財産なのだとか。
つまりこの地のゆかりに基づき、温泉はみんなのもの。決して独占したり奪い合ってはならないということ。
ひいて、他人の迷惑になる行為全般、盗みや性犯罪なども原則禁止。
そういった暗黙のルールが存在するため、血の気が多いと言われる炎属性の独壇場ながら、バーニングブラッドでは驚くべき秩序が保たれている。
ここでは属性・種族などいっさい関係なく、誰しもが気軽に温泉を利用できる。
全てのモンスターのるつぼ・バーニングブラッド。
理想の調和満ちるなんとも素晴らしい区域ではないか。
「場所が場所じゃなければな……」
ダルクの体力はすでに黄信号から赤信号へ変色しようとしていた。
全身汗まみれのダルクがゆく。
足が杖と同じ太さの棒になりきり、もはや三本脚でA級登山を繰り広げるダルクがゆく!
パサパサに乾燥した黒い頭髪。
熱気を出し入れし続けたパクパクの口。
汗塩を吸いつくしたシャツの重み。
「ハァ……ハァ……うぅ……ぐぅッ!」
長旅を経た数々の痕跡の果てに――
「つ、着いたっ!」
ダルク、ついに入浴地帯に到着。
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