過去ログ - 闇霊使いダルク「恋人か……」
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171:1(ストック終)[sage]
2010/09/10(金) 17:04:57.13 ID:fnPPJpYo

「と、とにかく壺は借りるぞ」
『ナくさないでネ、ホントに取るヨ、500DP』
「ああ、分かってる。ではまた」

 余計疲労が溜まった気がする。さっさと湯に浸かろう。

『サイゴに君さ、霊術使いとかいうヤツだよネ?』

 洞穴を出ようとするダルクを壺魔人が呼び止めた。
 霊術という言葉に思わず振り返るダルク。

「そうだが……なぜ分かった?」
『ア、やっぱリ? ドウにも似た格好の常連さんがいるもんでネ』
「似た?」
『イルヨ? ココにさっき来たのヨ、火霊使いのヒト』
「なに」
『ヒトリでお風呂入っても退屈でショ。ヨかったら話しかけてみれバ?』
「それは……」

 火霊使いか!
 興味引かれる話。是非会ってみたい。

 ――しかしすぐに抵抗を覚える。
 こちら側にいる霊術使いは、エリアといいウィンといい、女の子ばかりだった。
 ということは火霊使いも例に漏れず――

『アア、大丈夫、男だヨ! オトコノコだヨ!』
「なに、本当か」
『ウン、外見も口調も男のコ!』
「よかった、それなら……」

 一気に不安が晴れる。男同士なら間違いなく話も合うだろう。
 ここに来てから免疫のない女の子ばかり相手にして、いささか肩身が狭くなっていたところだ。
 そうだ、同性の友人が一人くらい居てもいいじゃないか。
 もしかしたら互いを高めあうライバルになれるかもしれない。 

 ライバル――外の世界に出るまで、ダルクが憧れていたものの一つだった。

『ウン、場所、教えてアゲル、いつも同じ温泉のお風呂入ってるカラ』
「それはありがたい、助かる」
『ウン、アノコに会ったらヨロシクネ』

 ここまで気回ししてくれるとはなんて親切な主人なんだ。
 冗談を言われたときは少々腹が立ったが、それも帳消しだな。
 
「ディー、行くぞっ。お前にも友人ができるかもしれない」

 ダルクは場所を教えてもらうと、礼もそこそこ足早に洞穴を出ていった。
 あとは、今にも弾け出しそうな大笑いをこらえる壺魔人が残るだけだった。



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