過去ログ - 闇霊使いダルク「恋人か……」
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232:1(ビックリしたー)[sage saga]
2010/10/02(土) 15:43:44.63 ID:f7bOuCY0

 はっきりと自分に向かって声をかけられ、すでにパニックだった頭の中は更にかき混ぜられた。
 ダルク? 紹介? つ、つまりこれって……

(な……なな……ナンパされたのか?)

 の、覗きを決めたあとのこんな状況で!?
 どこまでコイツ……なっ、なに考えて!?
 場所が場所じゃなけりゃこんなヤツ一瞬で灰にしてやってるのに!!

「ぁ」

 その一瞬、視界に猛烈なかすみがかかった。
 頭が。頭がぼーっとする。くらくらする。
 まずい、長湯しすぎた。早く上がらなきゃ……。

(で、でも)

 今は絶対に出られない。
 着替えを詰めた壺はヤツ……ダルクだったか。
 あの野郎に行く手を遮られている。とことん最悪だ。
 
 はっきり言うしかない。
 このヘンタイ根暗もやし野郎、邪魔だからとっとと消えろと言うしかない。言うしか――

(だ、だめだ)

 声が出ない。なんだか息苦しい。本格的にのぼせてきたのか。
 くそ、邪魔だタコ、早く出ていけ! 早く早く早く!!

(そ、そうだ!)

 温泉で回復したばかりで、魔力は有り余っている。
 思いつくが早いか、彼女は全身に火の霊力を張りめぐらせた。
 途端、湯水の温度が急上昇していく。

(この……蒸し焼きにやりたくなかったらとっとと出ていけ!)

 じわじわと煮え始める温泉。
 必然、自身の頭部にも余計に血がのぼっていく。
 くそっ、根競べだ……早く……早く出ていけ……早く!!

「――って、おいっ、大丈夫か!?」

 おぼろげな視界の中、焦ったような声が耳に飛び込んでくる。 
 あああなんで逆に近寄ってくんだよバカ!



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