352:1[sage saga]
2011/03/17(木) 16:17:02.58 ID:fMe3wtcAo
ケモノの使い魔に気遣いの言葉を声をかけていた彼女だったが、やがて振り返りざまに勢いよく立ち上がった。
「お前の使い魔のせいで、見ろ、あたしのコンがこんな目に!」
怒声とともにダルクを睨め付ける。
杖で示されたコン(安直だ)と呼ばれた使い魔は、いまだに苦しそうな咳をコンコン繰り返している。
気の毒ではあるが先に襲って来たのはそっちだ、ディーの抵抗は正当防衛!
しかし抗議の口を開きかけたその瞬間、目の前を風音とともに大きな炎が舞い上がった。
この場の空気中に一瞬、高熱が走る。ダルクは驚きの声をあげて飛びずさった。熱いっ。
柄が非常に細い、一見貧弱そうな松明に似たその杖は、しかし勢いのある火炎を放つようだ。
杖の意匠はそのまま魔力の出力に比例することがほとんど。あんなに簡素なつくりの杖でこの威力。
彼女の豊富な潜在魔力が垣間見え、ダルクは息を呑んだ。
「そ、それに……よくもあたしの……あたしの……」
ぎくり。
ダルクの脳内に先刻のシルエットがフラッシュバックされる。
あれは不慮の事故だった。そもそも、今はちゃんと服を着ているから何も気後れすることないじゃないか。
ここで初めてダルクは、この火霊使いの服装に着目した。
その格好はなんとなく炎属性に相応しく非常にさばけており、動きやすそうにみえた。
というより……無理をしている印象を受けるぐらい、やけに色っぽかった。
丈の長い黒のブーツ。その淵から伸びているハイソックス。
白肌の眩しい太ももを挟んで、これまでの精霊使いの例にもれなく短いスカートが伸びている。
エリアやウィンのように外側に開いた形状ではなく、ももにぴっちり張り付くようなタイトスカートだ。
腰周りには巨大なベルトを斜めに締めている。
ベルトの下からは大きくシャツがはみ出しているほどで、これがなんとか着衣を成立させているようだ。
そのシャツは上半身の素肌にそのまま引っ掛けているらしく、一見して下着代わりであることが分かる。
しかも正面は一切ボタンを留めずにV字に大きく開かれているため、悪びれることなく白い肌を覗かせている。
胸部はバンドのようなブラジャーのような黒い胸当てで覆われていた。
しかしながら胸当てにしてはやたら薄いように見える。……薄い…………い、いやいや。
上着は、少し茶色がかった白いローブを羽織っていた。
かろうじて魔法使い族らしい衣装の一端だったが、これもなんとなく引っ掛けている程度で着衣の意志がみられない。
そもそもこのローブの正面が結びとめられていたなら、こんなに胴体を露出することもないはずだ。
「……おい……何をじろじろと……」
下から上へと彼女の姿を眺めていたため、最後に到達するのは彼女の顔。高潮したしかめっ面。まずい。
「見てやがんだ!」
雰囲気と杖のかざし方で威嚇ではないと察するや、ダルクはもつれる足で真横に飛んだ。
直後ダルクがいた地点の足元を、ただごとではない低い音とともに紅蓮の火球が衝突。
燃やすものがないはずの炎は数秒とどまり、それが収まったときには地面にぞっとするような黒コゲが作られた。
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