37:1[sage]
2010/06/08(火) 23:33:39.20 ID:FUJqtM6o
――
格子の目立つ一室の隅で、ただうずくまっている自分。
手錠。
紫に滲んだ手首。
決して自力で外すことはできないと悟るまで増えていった傷跡。
向かい合わせの掌底を引き放そうとしても、手錠はかたくなに束縛を強調する。
小馬鹿にするように聞き飽きた金属音をあげるばかり。
暗い。
もの言わぬ闇の圧力が押し寄せてくる。
目を開けても閉じても、情け容赦なく闇がにじり寄ってくる。
力が出ない。
逃げられない。
手錠が外れない。
ワニのモンスター。
ワニ? ワニ??
――って痛っ、痛い!
「うわあっ!」
ベッドから跳ね起きて足を振り回す。
見れば何かが右足にかじりついている真っ最中!
慌てて足を振り回し、その緑色のモンスターを蹴飛ばす。
それはダルクの足に巻かれていた包帯の一部を食い破ったまま、宙に吹っ飛んでいった。
奴は床に激突することなく、中空で機敏に体勢を修正し、見事な着地を決めた。
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