4:1[sage]
2010/05/30(日) 02:37:06.38 ID:1o/NXgko
「――おぉ。なかなかいい家じゃないか」
と評したダルクの家は、相当の年季を思わせる木造り小屋だった。
林の中に隠れるように建てられたその一軒屋は、おとぎ話に出てきそうな怪しげな外装を呈しており、それがすでに好印象だ。
「悪くない、悪くないぞ」
前もって教わった通り、杖の先をドアノブ付近の紋章にあてがう。
いかめしい扉は軽い音を立て、簡単に開いた。
「おおっ」
一枚戸を隔てたすぐそこには生活空間が流れ、衣食住に必要な家具は全て完備されてあった。
前の住人がここを発つ前に丹念な片づけをしてくれたらしく、室内は綺麗に整理整頓されている。
「ははっ」
ダルクは背負っていた荷を放り、目に付いた窓際のベッドにどさりと腰を下ろした。
その視点から室内をぐるりと見渡す。
さすがに越してきたばかりなので、何もないインテリアの寂寥感は否めない。
だがなに、本棚はすぐ埋まるし、炊事関連は苦手だからきっとゴチャゴチャするだろうし――
一週間も経てば自分色の模様になっているはずさ。
幼少より憧れていた独り暮らし。
なんといっても自由、これに尽きる。
取り払われたしがらみ、新たな始まりの予感、この高翌揚はとても抑えきれるものじゃない。
使い魔のディーも主の気持ちを体現するかのようにパタパタ旋回した。
「今日からここがオレの根城だ!」
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