過去ログ - 闇霊使いダルク「恋人か……」
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72:1[sage]
2010/06/14(月) 17:32:25.77 ID:kHbM8s2o
 完全に日も暮れ、辺り一帯は完全に夜と呼べる暗さになっていた。
 使い魔ディーは見張りも兼ね、屋外で逆さづりになって寝ている。

 ダルクの家の居間。
 前の住人には来客が多かったのか、テーブルには5脚ものイスがついていた。
 ダルクは一番奥の席に座り、ウィンは手前の中途半端なところに座った。
 対面ではないのでダルクが姿勢の向きを変えてやった。早くも調子を外された気がした。

「――で、ウィン」
「ん」
「君の家はどこだ」
「霞の谷(ミスト・バレー)」
「それはどこにある」
「んー。遠いーよー」
「遠いのか」
「うん」

 ダルクはテーブルの上に組んだ手を乗せ、厳しく詰問する姿勢でウィンの方を向いている。
 対してウィンは片手で頬杖を付いて眠そうな顔をしており、やる気が微塵も感じられない。
 ダルクは怒るやら呆れるというより、つられて脱力しそうな気分になった。
 だが屋外とはいえ不法侵入された以上、話だけはきっちり聞き通さなければ。
 ダルクは溜息まじりに会話をリードする。

「――帰る家があるのに、なんであんな所で寝てたんだ」
「んー……だって遠いんだもん。うち」
「宿を借りるだの、友人の家にでも泊まるだの、野宿しないで済む方法はあるじゃないか」
「んー。そうだけど」
「オレはここに移り住んだばかりだから行ったことないけど、ここから最寄りの町にはあるんだろ? 宿屋が」
「あー。そうだったんだ」
「なにが」
「移り住んだばかりって。だからここにキミがいたんだねー」
「そうだ。昨日越してきたばかりだ」
「ふぅん……そうだったんだー……」
「……」
「……」
「…………」
「………………ふぁあ」
「こら。話を終わらせるな」

 ずるりとウィンの頬杖が一瞬外れた。
 いかん、会話を途切れさせるとそのまま眠ってしまいそうだ。



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