過去ログ - 闇霊使いダルク「恋人か……」
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859:【3/3】[age saga]
2011/11/19(土) 16:16:52.72 ID:LHJF1CSBo
 
「あっ……待ってっ」
 
 少し落ち着きを取り戻したライナは、片手でダルクの袖を引いた。
 もう片方の手には、今までどこに仕舞っていたのか、やたら大きな杖が握られていた。
 ダルクが今まで目にした中では最も豪勢なデザインで、先端に付けられた鏡が静かに光を放っていた。
 
「肩、見せてっ。ボク、回復の霊術も使えるからっ」
「大丈夫だって。本当に大したケガじゃないんだ」
「せっかくお金を守ってくれたんだし、お礼くらいさせてよっ」
 
 ダルクが返事を決めあぐねているうちに、ライナはすばやくダルクの肩を向き直らせた。
 お礼を断るのも格好がつかないだろう、などと考えてるうちにライナの霊術が始まってしまう。
 
「ねっ、見ててっ、あっという間に傷が塞がっちゃうからっ。ボク得意なんだっ」
「そ、そうなのか?」
 
 すぐそばにライナの得意そうな笑顔。
 ダルクは目のやり場に困り、視線を自分の傷口に向ける。
 傷口に近づけられる杖。光を放つ杖。光属性の杖……。
 
「ま、待て!」
 
 ダルクが声に出したときには、すでに光霊術――『チェーン・ヒーリング』は行使されていた。
 温かな光のエネルギーが、ダルクの傷口から体内へじわりと染みこんでいく。

 次の瞬間――
 
「――う」



 
 ライナの悲鳴とは比にならない、命を搾り出すような絶叫が周囲に轟いた。
 ダルクはなりふり構わずその場に倒れこみ、存在を溶かされるような激痛に悶え、のた打ち回った。
 胸当ての内側で眠っていたディーも影響を受け、服の陰で狂ったように暴れ出した。
 
「えっ……どうして……?」
 
 ライナはダルクの急変ぶりに何が起こったのか分からず、周囲に響き渡る叫び声に呆然としていた。

「だってボク……この術でたくさんの人を……」
「何事だ!?」
 
 そのとき、最初のライナの悲鳴を聞きつけたライトロード・ジェインが現場に到着した。
 遅れて息を切らせたライトロード・ライラが駆けつける。
 
「ライナさん! この少年は……」
「ジェインさんっ……助けて……」
 
 ライナは半泣きになりながら、ジェインの甲冑によりすがった。
 
「……あの人を……クルダを助けてっ……」
 


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