86:1[sage]
2010/06/20(日) 16:02:36.95 ID:AbvfNRQo
コートを払ったウィンのインナーは、薄手の白いブラウスだった。
エリアのように首元の露出が多く、襟口の縁取りが黒いレースでつながって艶っぽい。
着やせするタイプなのか、意外と胸の膨らみも想像の何割増しか大きい。
見比べた感じだと、エリアよりも若干大きくみえ――
ダルクは自分の頬をはつった。目が覚める。
自己嫌悪タイム突入。
「どうしたの」
「なんでもない」
――ブーツを脱いでベッドに這い上がり、コートをベッドの柱に引っかけ、寝る準備は万端。
最後にウィンは、後ろにポニーテールを結んでいる髪留め(ヒモリボン?)を外した。
ほどかれた緑髪が、綺麗にサラサラとなびいた。
セミロングの彼女は、先ほど会話していた人物とはまるで別人のようにみえた。
(か……可愛い……?)
ふとすぐそばのプチリュウの視線に気づき、慌てて目を反らす。
プチリュウはアクビしたあとピクリとも動かず、その双眸は何を考えてるのか極めて計りかねる。
な、なるほど、これはこれで護身に適しているといえなくもない――。
「えへへ」
ベッドに仰向けになるウィン。
枕に頭をのせ、掛け布団を両手で肩元までひっぱりあげる。
「ベッドで寝るの、二日ぶり」
「そうなのか」
「それまで外で寝てたから」
「よく野宿なんてできるな」
「できるよ。あ、おふろはちゃんと入ってるから」
「そ、そんなことは別に気にしちゃいない」
ウィンの眠そうな目がダルクをみつめる。
決まりが悪くなって目を背けるダルク。
その視線の先にはプッチの無機質な視線。無駄にやりづらい。
「あ」
「今度はなんだ」
「そういえば、まだ、名前聞いてない」
「そうだったか」
「うん」
てっきり名乗ったものと思っていた。
それにしてもまさに一晩過ごそうとするタイミングになって、初めて宿主の名を知るウィンのいい加減さにも脱帽だ。
ダルクは自分の名を単に「ダルク」とだけ名乗った。
なんとなく、闇霊使いであることは伏せておきたい気分だった。
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