9:1[sage]
2010/05/30(日) 02:43:43.92 ID:1o/NXgko
自分と同じくらいの年と思しき女の子が、泉で水浴びをしていた。
ハダカだ。直立した恰好で、一糸まとわぬ白肌を惜しげもなく晒している。
体型は絶妙な均整美を誇っており、髪の天辺から水に沈んでいるフトモモに至るまで、まるで動く芸術。
その細い指で水面を撫ぜ、そのまま掬った水を自分の身体に染み込ませるように塗る。
動作の一つ一つがとてつもなく優美で、現実から隔てた幻想情景が頭の中を馳せていく。
(うおぉ……)
ダルクは女の子の顔を見た。
思わずハッとする。
抜群の器量だった。
か、かわいい。
なんだこのパーフェクトガールは。
憂いたように伏せられた目は、心なしか愉しそうに見える。
静謐な品位を保ちながら、動的な印象を受ける凛とした眼。
その性格が垣間見える気取らない風貌が、さらなる胸の高鳴りを呼んだ。
(……はっ。い、いかん)
ダルクは闇の世界で何度か、今回のようにたまたま女性モンスターの裸体を目にしたことがあった。
が、そういう場合は例外なく即座にバレたあげく、後遺症ものの制裁が待っていた。
そのときの傷がじくりとよみがえる。
ここまでまじまじと眺められた経験は今まで一度もなかったが、見つかっては弁解のできない一大事。
(一大事だ)
ダルクはその場から立ち去ろうとゆっくり腰を上げた。
できるならもっと拝んでいたかったが、移住早々もめごとを起こしてもつまらない。
そもそも水場の位置を把握するという本来の目的は達成したはずだ。
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