過去ログ - 闇霊使いダルク「恋人か……」
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923:【2/2】[sage saga]
2011/11/25(金) 20:44:24.89 ID:E/AE/g2Bo
 ふとダルクは、エリアとウィンの警告を思い出した。
 「町では気をつけろ」と言われたが、確かに『闇』だったおかげで散々な目に遭ってしまった。
 『闇』の異端扱いは十分感じ取れたし、光の恐ろしさも文字通り身に染みて感じた。
 今晩無事に五体満足でこの家に帰れたのは幸運だったろう。
 
「……」
 
 仰向けのダルクは、ごろりと横向きに転がった。
 エリアとウィンのくだりで思考が逸れていく。霊使いのことだ。
 
 ダルクはここ数日で、奇跡的に全ての属性の精霊使いに会ってしまった。
 そして信じられないことに、軒並み自分と同い年くらいの女の子だった。
 男はまさかの自分たった一人。六人もいるのに、紅一点ならぬ黒一点だ。
 
 誰か男の一人でもいれば、これほど肩身が狭い思いをせずに仲良くつきあえただろうに――。
 別に、女の子相手と仲良くするのが無理というわけではない。
 ただ異性同士の場合、同時に別の意味も浮き上がってしまうのだ。
 関係は『友人』に留まらず、もう一段階上の結びつきにまで発展するおそれがある。
 友情とは別の、胸の奥底から呼応する固い絆で結ばれた関係――。


「恋人か……」


 師から恋をしろと言われたことがあるが、自分には到底無縁の話だと思っていた。
 ところが外の世界に出て、いきなり五人もの女の子と知り合うことになろうとは思わなかった。
 水霊使いのエリア。
 風霊使いのウィン。
 火霊使いのヒータ。
 地霊使いのアウス。
 光霊使いのライナ。
 それぞれが魅力的な容姿と個性を備えている。

 もしこの中の誰かが、自分の恋人になるとすれば――。
 
「いや」
 
 ダルクは失笑を抑えきれなかった。
 一瞬でも「自分と釣り合う女の子がいる」と勘違いした自分が滑稽だった。
 そもそも恋人がいないと決めてかかっているのもバカらしい。
 すでに相応しい相手がいるか、近いうちにすぐに見つかるだろう。
 彼女たちの大切な将来に、『闇』の入る余地はない。
 
 ニヒルな孤独者を気取っているわけではなかった。
 ただ現実を客観的にみて、当然の流れを結論づけただけ。
 
 でも――
 ダルクは思う。
 恋人は有り得ないとしても、友達ぐらいにはなってくれるだろうか。
 今はまだ知り合い程度だが、仮にも同じ精霊使いなのだし、勘違いしない程度にはみんなと仲良くなってみたい。
 
 友達。
 ダルクは寝そべったまま、再び笑った。
 今度は自らに対する嘲笑ではなく、浮き浮きするような、恥ずかしいような照れ笑い。

 これから先、どんな日々が自分を待っているのだろう。
 外の世界は広い。毎日が新たな発見の連続。明日も楽しみだ――。
 
 
 
 
 
 ダルクはベッドの上で眠り込んでいた。

 この先起こること。
 待ち受けるもの。
 結末。

 そんな言葉が無粋に思えるほど、ダルクの寝顔は深い眠りに溶け込んでいた。
 
 




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