過去ログ - 澪「好きだよ。………好きだった」
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38:気に入りません ◆EXypm9zea.[sage]
2010/06/02(水) 22:17:10.82 ID:gha3zEDO
演奏していると、唯をちらちらと見てしまう自分に気付いた。
楽しそうな様子に、見ているこっちが幸せになるみたいだった。

すると、唯もこちらに気付いて、にこりと笑う。

轟音の中で時が止まるような瞬間。すべての音が消えるような錯覚。
けれど次の刹那には元通りになっている。そんな魔法みたいな一瞬一瞬を、唯は私にくれる。

それは私だけに向けられる優しさではなかった。
誰にでも分け隔てなく接するし、誰からでも好かれる。
それは素敵なことであり、同時に、私のささやかで傲慢な不安―――唯が誰かのものになること―――を掻き立てた。

彼女の美徳をひとつ知って、焦りにも似た、愚にもつかない考えが頭を過るたび、自分が嫌いになっていった。
醜い自分をひとつずつ、発見していくみたいだった。
そのすべてを数え終えたところでどうしようもないことを、私は知っていた。



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